中学年代の王者を決める高円宮杯JFA第33回全日本U-15サッカー選手権大会のベスト4が出そろった。
この年代の中で本戦に進むのが最も難しいとされる本大会では、出場32チームが決まった時点でいくつかのサプライズがあった。まず関西ではガンバ大阪ジュニアユースやセレッソ大阪U-15が敗退し、奈良YMCA SCジュニアユースや千里丘FCなどの街クラブが出場権を手にした。九州ではアビスパ福岡や大分トリニータのU-15に加え、黄金世代との呼び声も高かった神村学園(鹿児島県1部に所属)も涙をのみ、宮崎県のアリーバFCが勝ち上がった。そして関東では神奈川県1部のSCH FCが8つしかない関東代表の座をつかむなど、街クラブの躍進が目立ったと言えるだろう。
その街クラブの代表といえるチームが、ベスト4で鹿島アントラーズつくばジュニアユースと対戦する埼玉のFCラヴィーダだ。昌平高校の育成組織として同校のグラウンドで練習する技術とパワー、サッカーIQを高いレベルで兼ねそろえた集団である。ベスト8で涙を飲んだ昨年のリベンジ、そして優勝に向けて闘志を燃やす。
FCラヴィーダの挑戦を受けるのが、鹿島アントラーズつくばジュニアユース。昨年は決勝でサガン鳥栖U-15相手に圧倒的に攻め込みチャンスを作るも、延長戦のカウンター一発で涙を飲んだ悔しい経験がある。注目選手は184cmのFW徳田誉。中学3年生ながら今年はほとんどの時間をユースでプレーし、鹿島のフロントからの期待も厚い。流れに関係なく個の力で試合を決められるタレントに注目してほしい。
もう一つのカードはサガン鳥栖U-15と名古屋グランパスU-15のJクラブ対決だ。目立ったタレントを抱えるわけではないものの、総合力の高さと攻守に穴がないのが強み。主力として野村勇仁や八色真人ら2年生の選手らも抱えており、来年度にも期待がかかるチームだ。
前回覇者のサガン鳥栖U-15も順当に勝ち上がっている。2019年の夏のクラブユース選手権では優勝、冬の高円宮杯では準優勝、2020年冬の高円宮杯で優勝(※夏のクラブユース選手権は中止)、今年の夏のクラブユース選手権で準優勝と、直近4大会ですべて決勝に進んでいる。チームの色であるハードワークをベースに、堅い守備と少ないチャンスをものにして勝ち進む姿は、かつての鹿島アントラーズを彷彿させる。一昨年、昨年に比べてタレント力は劣るものの、トーナメント戦での勝負強さは今大会でも際立っている。特にFC東京U-15むさしと戦った2回戦は2点ビハインドの状態から3点を決めて勝利を収めた。今夏のクラブユース選手権決勝と同じカードでリベンジを達成し、完全に勢いに乗っている。
連覇を狙うサガン鳥栖U-15とベスト4で涙をのんだ夏のクラブユースを越えたい名古屋グランパスU-15、悲願達成を狙うFCラヴィーダと昨年のリベンジに燃える鹿島アントラーズつくばジュニアユース。それぞれの思いがぶつかる準決勝は、12月25日(土)に味の素フィールド西が丘で行なわれる。
文・竹中 玲央奈
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(BLOGOLA編集部)
2021/12/22 21:23