Jクラブの育成組織か、それとも近年躍進著しい街クラブか。はたまた中体連が意地を見せるのか。高円宮杯JFA第33回全日本U-15サッカー選手権大会が12月11日に開幕する。
昨年度はサガン鳥栖U-15が3年ぶり2度目の優勝を飾ったが、ここ数年は街クラブの強さが際立つ大会も少なくない。2000年代以降は本格的に強化を始めたJクラブが圧倒的な強さを誇り、街クラブや中体連が上位進出を果たすケースはあまり見られなかった。しかし、近年は流れが変わり、昨年はFC多摩ジュニアユースがベスト4入り。当時のレギュラーの半数以上が、現在はJユースでプレーしている。8強入りを果たしたFCラヴィーダも準々決勝で鳥栖U-15にPK負けを喫したが、互角以上の試合内容だった。
近年の流れを踏まえれば、今年もJの育成組織と街クラブのせめぎ合いは見どころの一つだろう。打倒・Jクラブ――。その急先鋒になりそうなのが、関東1部リーグを制したFCラヴィーダだ。ナショナルトレセン歴を持つMF山口豪太(中2)、エリートプログラムに選出されているMF長璃喜(中2)といったアタッカー陣を擁し、リーグ戦では9戦全勝。夏のクラブユース選手権U-15を制しているFC東京U-15むさしにも勝利しており、今年も十分に優勝が狙えるチームだ。
一方、Jリーグの育成組織ではFC東京U-15むさしが頭一つ抜けている。夏のクラブユース選手権U-15では左利きのゲームメーカー・佐藤龍之介(中3)、得点感覚に秀でたFW山口太陽(中3)らを擁してチーム発足後初となる日本一に輝いた。1回戦で夏の全国中学校サッカー大会で準優勝を収めた青森山田中、順当に行けば2回戦で夏に決勝で対戦している鳥栖U-15と対戦するが、厳しいブロックを勝ち上がれば、夏冬連覇も狙えるはずだ。
そのFC東京U-15むさしと対戦する鳥栖U-15も全国トップクラスの実力を誇っており、優勝候補の一角。188cmの大型CB大場章太郎を軸とする守備は堅く、推進力に定評がある山﨑遥稀らが構える攻撃陣もタレントぞろい。2回戦で対戦が実現すれば、最注目のカードになるのは間違いない。
その他で面白そうなチームはJFAアカデミー福島U-15 WEST。街クラブではないが、今年は個性的なタレントがそろう。なかでも注目はU-15日本代表の木吹翔太(中3)。198cmの大型プレーヤーは中盤の底から最前線まで幅広くこなせる逸材で、高さだけではなく足元の柔らかさにも定評がある。
冬の全国舞台でU-15年代の選手たちがどのようなプレーを見せるのか。今年のU-15世代は2年後に開催されるU-17ワールドカップの出場資格を持っており、中学生活最後となる大会の活躍次第ではさらなるステップアップも見えてくる。Jクラブと街クラブ、そして中体連の攻防に加え、未来の日本代表を担う逸材たちのプレーぶりにも注目したい。
文・松尾祐希
J SPORTSオンデマンドで
準決勝・決勝をLIVE配信!
(BLOGOLA編集部)
2021/12/10 18:00