27日、オンライン取材に応じた大宮の馬渡和彰が、岩瀬健前監督とのエピソードを明かしてくれた。
24日に解任が発表された西脇徹也フットボール本部長と岩瀬監督は馬渡にとって信頼を寄せていた2人だった。今季大宮に加入するきっかけになったのは西脇氏の存在であり、馬渡は岩瀬前監督と意見を交わす姿も頻繁に見られていた。そこで2人への思いを聞いてみると「今日、絶対に聞かれると思っていました」と話しつつ、思いを語った。
「西脇さんは自分が大宮に来た一つの要因であることは間違いないです。そして、今年の大宮の選手の中で監督と1番喋ったのは自分だと思う。誰に聞いてもそう言うと思うし、自分でもそう思っています。そういう人が2人もいなくなってしまった。そこには申し訳ない気持ちがありますね」
話題は岩瀬氏とのエピソードに発展。「何か2人とはやりとりを交わした?」と聞くと、「それはあんまり言えないけど、ネタになるとしたらアウェイ琉球戦かな」と自ら“事件”を暴露した。
4月3日の第6節・琉球戦。開幕から5連勝と波に乗る相手のホームに乗り込んで戦った一戦で馬渡は低調なプレーに終わった。それは試合中から指揮官の目にも明らかで「健さんに『カズ、目を覚ませ』とすごい形相で言われていた」。そう檄を飛ばされながらもパフォーマンスが上がらなかったことが悔しかった馬渡は試合後、「健さんに『どうした?』と言われ、目が合った瞬間にボロボロと涙を流してしまった」。
今季初めて副キャプテンという役職に就き、少し気合いが空回りした部分もあったという。当時を思い出し「順位が上の相手にアウェイで0-0は守備の選手として最低限の結果だと思うけど…、今年30歳になる副キャプテンがゲーム後に泣くというね」と笑いながら振り返った。
ただ、もう気持ちは切り替わっている。「ネガティブになるのは好きじゃない」と言う馬渡は「これから大宮の力になることが2人への恩返しになる」と前に進んでいくことを強調。週末に控える千葉戦に向けては「もう勝つ試合以外は期待していないですよね。監督が代わってみんなが勝点3を求めていると思うので内容よりも結果が大事だと思っている」と強く意気込んだ。
10戦勝ちなしのスタートがその琉球戦。悔し涙から約2カ月、大宮アルディージャに関わるすべての人に勝利の歓喜を届け、“泣き虫”の背番号8が今度はうれし涙を流す。
(大宮担当 須賀大輔)
2021/05/28 12:23