サッカー界で活躍するのは、選手や監督たちだけではない。コーチングスタッフや育成年代指導者はもちろんのこと、運営や広報にグッズ担当、昨今ではデジタルマーケティング担当を置いて力を入れる組織も多い。そうした日々、多岐にわたる役割を果たしているビジネススタッフや指導者たちもまた、一つのクラブを支える大きな存在だ。
現在、サッカー業界に多くの人材を輩出する、日本で唯一のサッカー専門総合学校『JAPANサッカーカレッジ』。全国のJクラブにも多彩な卒業生が散らばり活躍する。今回、そんなOB・OGの皆さんに登場していただき、サッカークラブで働く現在と、在学時代に学んだ経験を語っていただいた。
〈インタビュー・文:島田徹〉
プレーしながら、指導者について学ぶ。それができる環境
――まず茂呂さんがJAPANサッカーカレッジに入学しようと考えた理由は何ですか?
茂呂 高校で指導を受けていた方のような指導者になりたいと考えたので、指導者ライセンスも取れる学校ということで選びました。
――ということは、『サッカーコーチ研究科』あるいは『コーチ・審判専攻科』で学ばれたのですか?
茂呂 僕はプレーヤー3年制学科の『サッカー専攻科』を選びました。サッカーをプレーすることに重点を置きながら、そこでも指導者ライセンスが取得できるとの説明を受けたからです。
――JAPANサッカーカレッジには全部で7つの学科がありますが、1年生の時に『サッカー専攻科』を選んで、そこで学ばれたわけですね?
茂呂 サッカー専攻科だけの特徴なのですが、2年生になる時に他のコースを選択できる機会がありました。1年間プレーしてみて、別の道に進みたいと考えたらそこで進路変更ができるんです。でも、僕の場合は3年間通じてプレーヤーとして活動し、最終学年となる3年時に指導者C級ライセンスを取得しました。
――『サッカー専攻科』ではどういうことを学ぶのですか?
茂呂 選手としてプレーすることがメインです。例えば、午前9時から11時まで練習をして午後からはサッカーの戦術論をはじめ栄養学の授業もありましたし、そのほかに英語やパソコンを使ってエクセルなどデータ処理に関する授業も受けました。座学授業は1コマ50分で、1日大体2~3コマでしたね。
――選手としてプレーするということは学校の中で組織されたチームがあったということですね。そのチームとしてどういう公式戦を戦っていたのでしょうか?
茂呂 チームとしては当時、いわゆる1軍から3軍までの3チームがありました。トップチームはJFLの一つ下の地域リーグ『北信越フットボールリーグ』の1部を戦っています。リーグ戦は4月から11月までの開催で、当時は8チームが参戦してのホーム&アウェイの2回戦総当たりでした。
サッカーの幅広い知識・情報を得られる「最高の場」
――プレーをしながらでもコーチ目線でいろいろなものを見ていたのでしょうか?
茂呂 指導者になるにしてもある程度のプレーができないと見本を示せないと思ったので『サッカー専攻科』を選んだわけですが、でも最終的には指導者になりたいと思っていたので日々のトレーニングにおいてもただ自分のスキルアップに励むだけではなく、その練習に何の意味があるのか、取り組む上でのポイントは何なのかを考えるように意識していました。
――JAPANサッカーカレッジを選んで良かったと思う点は?
茂呂 自分が所属するサッカーチームはもちろんですが、日々のキャンパスライフでいろいろな学科の学生と触れ合えるのは良かったですね。例えば、チームには『マネージャー・トレーナー科』で学ぶチームマネージャー志望の学生が実際に試合に帯同して僕らをサポートしてくれます。同じ学生なので、ケガ予防や体のケアに関する知識、あるいは自分に足りないフィジカル要素を高めるにはどういうトレーニングをするべきなのかなどを遠慮することなく聞いて学べます。同様にホームゲームの運営は『サッカービジネス科』で学ぶ学生が行ってくれますし、とにかくサッカーにかかわる幅広い知識や情報を得るには最高の場所だと思います。
――いわゆる普通の大学に通う学生と比較して思うことはありますか?
茂呂 もちろん、高い目標をもって大学生活を送られている方も多いと思いますが、JAPANサッカーカレッジに来る学生はサッカーの世界に携わりたいと本気で思っているので、お互いに刺激し合える環境にあると思います。また、一般の大学と異なる点で言えば、近隣の地域住民の方々とかかわる場面が各種イベントを通じてあり、そのつながりがあるのは良い点だと思います。
地元・九州で見る夢。「アカデミーチームを指導したい」
――卒業後はギラヴァンツ北九州で働いていらっしゃいます。
茂呂 福岡県出身なので地元のクラブで働けることに満足しています。いまは幼稚園年中さんから小学6年生までを対象にしたスクールで、月曜日から金曜日までの16時から20時まで指導を行っています。スクールは全部で24校あって、僕は4校くらいで指導をしていて主に見ているのは園児と小学5、6年生です。勤務は11時からが基本で、夕方のスクールまでの時間は会員と会費の管理やスクール生やその親御さんへの連絡など事務作業をやっています。
――スクール指導のやりがいや難しさは何でしょうか?
茂呂 スクールに来てくれる子どもはうまくなりたくて来ている子どもと友達と一緒にいる時間を楽しみたい子どもがいるので、それぞれの子どもの目的に合った指導を心がけるのがなかなか難しい点です。同じメニューをする中での声掛けや技術的なところで求めるレベルを変える、あるいはミニゲームをするときのチーム分けなどでその差に対応していくところが難しい点ですね。やりがいというか、これまででうれしかったことは去年のスクール別対抗の試合で自分が指導を受け持っていたチームが優勝した時に、子どもと保護者の方がうれしそうにメダルを持ってきて「コーチのおかげで優勝できました!。と報告してもらった時ですね。
――今後の目標はありますか?
茂呂 いまのところはスクールで指導をしていますが、ゆくゆくはB級指導者ライセンスを取得して、クラブのアカデミーチームの中学生を指導してみたいですね。
――サッカー業界に関心がある、特に高校生に進路を決める上でアドバイスをいただけますか。
茂呂 僕はコーチになりたいという明確な目標がありましたが、サッカーに携わりたいという大枠の目標しかイメージできていない人でも、JAPANサッカーカレッジに行けば7つの学科に在籍する先輩や同級生と接することで明確な目標が見つかるはずです。そして、自分にふさわしい目標を見つける手助けをしてくれる先生方もいるし、そういう機能やシステムがしっかりしている場所だと思います。はっきりとした目標がないからと悩む必要はなくて、サッカー界に関わりたいという思いがあるならまずJAPANサッカーカレッジの門を叩くことをおすすめします。
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選手・コーチ・トレーナー・クラブスタッフなど、サッカー界のあらゆる分野を目指せる日本で唯一のサッカー総合専門学校。
『JAPANサッカーカレッジ』のホームページはこちら
⇒ https://cupsnet.com/
(BLOGOLA編集部)
2021/03/19 19:00