前節・柏戦は先制しながら終わってみれば5失点を喫しての逆転負け。自身も後半途中に交代となった長崎のMF黒木聖仁は「不甲斐ない試合」と振り返った。しかし、「大事なのは最後の結果。そこで残留圏にいることが大事。この1試合の結果だけで凹むくらいだったらもっと凹むような試合は他にもたくさんあったと思う。やってきたことを続けることが一番、大事」とすでに湘南戦に向けて、気持ちを切り替えていた。
その背景にあるのは甲府での残留争いの経験だった。「(必要なのは)深く考え過ぎないことじゃないですか。長崎から甲府に行ったときも(降格圏にいて)『これはヤバいだろ』って思っていたんですけど他の選手は『大丈夫、大丈夫。毎年、こんな感じやし』って雰囲気でした」と黒木は甲府が残留争いで勝ち残ってきた「大丈夫」の精神、そして、前を向くことの重要性を実際に体感してきた。
この「大丈夫」というのはただ、楽観するという安易なメンタルではない。黒木が言う「大丈夫」の背景にあるのはブレないことの大切さだ。「大丈夫っていう気持ちをしっかり持って、迷うことなくやってきたことを続けていくことが大事だと思います」、自分たちのやってきたことを信じることができなくなってしまえば、簡単に瓦解してしまう。
「俺、チームに迷惑をかけてきたので」
「大丈夫」と話しながらも誰よりも自分自身に不甲斐なさを感じている。「シーズン最後の時点でこの結果(最下位)だったら落ち込みますけどまだ、試合はある。『大丈夫』だと自分は思っています」。普段から多くを語らず、プレーで語る黒木。だからこそ、その言葉には重みもある。「大丈夫」、長崎サポーターにそう思ってもらうためにも背番号10はブレることなく、戦い続ける。
(長崎担当 杉山文宣)
2018/08/28 19:54