今季、福岡の選手たちからよく聞く言葉に「ピッチ内で選手同士のコミュニケーションがよくとれている」あるいは「選手同士の話し合の中でいろいろな判断ができている」というものがある。そのことがどんなふうにピッチ内の現象として表れているのか、なかなか分かりづらかったのだが、篠原弘次郎がとても興味深い具体例を示してくれた。
前節の讃岐戦でのセットプレーでいくつかのトリックプレーがあったのだが、「その場で選手同士の話し合いの中で決めてやったもの」と、いずれも事前準備なし、即興のチャレンジだと言うのだ。
一つはFKの場面で鈴木惇が直接狙うのではなく壁から離れた位置にいた森本貴幸にパスを出し、森本がシュートを狙ったもの。もう一つも鈴木のFKで同様にゴールから離れた位置にいる岩下敬輔にパスを出し、岩下が中へ折り返して中央の篠原が足で合わせたもの。いずれもゴールにはならなかったが、相手の意表を完全に突く、かなり精度の高いトリックプレーだった。
即興による完成度の高いセットプレーに、今後の厳しい戦いで威力を発揮しそうな“大きな武器”を見た気がする。
(福岡担当 島田徹)
2018/04/30 17:28