FC東京は19日、小平グラウンドで明治大と45分×2本のトレーニングマッチを行った。結果は2本合計5-0(3-0、2-0)でFC東京が勝利。この試合では五輪組の権田修一、徳永悠平、米本拓司が不在、さらには森重真人と中村北斗が大事を取って欠場するなど、ベストメンバーとは程遠い布陣だったが、FC東京が力の差を見せ付ける結果となった。
1本目に圧巻の存在感を見せたのが河野広貴だ。顔面ブロックで途中交代を余儀なくされた吉本一謙に代わって16分から出場すると、そこからわずか11分間でハットトリックを達成。1点目はルーカスのパスを受けて左足で流し込み、2点目は石川直宏のクロスをスライディングシュート、3点目も石川のパスに抜け出して冷静に突き刺した。試合途中に目を傷めて河野は1本目のみの出場となったが、背番号17へ2アシストをした石川は「(河野は)いい動きをしていたし、攻撃の作りも良かったと思う。ボールに対する連動したアクションだったり、作りたいと思っていた形を実際に出せた」とコメント。力の劣る大学生相手とはいえ、中央やサイドから流動的な崩しで得点を奪えたのは収穫だろう。
河野のハットトリックについてランコ・ポポヴィッチ監督は「(河野)広貴はアップ時間が短ければ短いほど良いプレーをする。それと、目が見えないからゴールを決められたと思う。もしハッキリ見えていたら決められていたかどうか分からない」と得意のジョークを飛ばしたが、けが人が多い中で絶好のアピールとなったのは間違いない。
2本目に得点を追加したのは、強化指定選手の三田啓貴と渡邉千真。13分に石川のシュートのこぼれ球を詰めてゴールを奪い、41分には渡邉へ好クロスを供給してアシストした三田は「自分はフィジカルが弱いので、出して動いてかわしていくほうが合っていると思う。(FC東京は)すごくやりやすい」と手ごたえを口にした。ポポヴィッチ監督も、同じく2本目から出場した強化指定の武藤嘉紀の二人についてコメントし「ポテンシャルはあるからこそ、ウチの強化指定になっている。二人とも瞬間的なスピードもあるし、敏捷性、瞬発力もある。楽しみだ。この試合でもいいところを出してくれた。ただ、もちろん課題もある。その課題を修正してさらに質を上げていって欲しい。二人ともまだ伸びしろは十二分にあるから」と高い期待を寄せた。
そして、この試合では新助っ人のエジミウソンが早くも“FC東京デビュー”。まだコンディションを整えている段階とあって、2本目の15分間のみの出場となったが、ボールを引き出すプレーには可能性を感じさせた。「体格もいいし、ボールを引き出すときの動きも非常にいいと思う。自分で受けるスペースを作ってから受けに入る。それは効果的だ」とポポヴィッチ監督も好評価を与えた。ただ、公式戦から6カ月以上も離れている影響からか、シュートを1本も打てないどころかボールロストが目立ったのも確か。指揮官も「(25日のナビスコカップ準々決勝の)仙台戦に向けてではなく、これからの試合にいち早く出られるように意味を込めて15分間だけ出した。ゲームフィーリング、ボールフィーリングを取り戻させるという意味で、試合に出したほうがいい。いまの状態で、この時期に彼に何かを期待するわけでもないし、とにかくボールに触ってチームの一員としてプレーすること。感覚を取り戻すことが大事」と先を見据えての調整を示唆した。
(FC東京担当 泰良和彦)
2012/07/21 13:53