今季のJ2も最終節を残すばかりとなった17日、大分の山口貴弘がクラブを通じ、今季限りでの現役引退を発表した。
帝京高から早稲田大を経て07年に湘南でプロデビューした山口は、13年から2シーズンを長崎、15年から3シーズンを大分でプレー。守備のスペシャリストとして、ディフェンスリーダーやクローザーの役割を堅実にこなしてきた。
「中学の初蹴りに行くたびに『お前よくプロでやってるな』と言われ続けてきた。僕は特別、能力がずば抜けていたわけでもなかったから」と笑う。「器用なタイプじゃないから、課せられた役割だけにこだわったほうが力を発揮しやすかったのかも」。
本人は「あまりチームに貢献できなかった」と言うが、記憶に残る仕事はたくさんある。1年でのJ2復帰を懸けて戦っていた昨季J3第27節・秋田戦で、一人退場して防戦一方となった中で投入され、相手の猛攻をしのぎ零封したこと。今季はリーグ戦への出場機会に恵まれない中で、サブ組のリーダーとして若手たちを統率したこと。そのサブ組中心で臨んだ天皇杯2回戦・町田戦で、戦術浸透度の高さを感じさせつつ勝利したこと。
職人気質で後輩思い。トレーニング中にも、つねに周囲と意思疎通していた。今後は指導者への道を考えているという。11年間の経験を、惜しみなく後進の選手たちへと伝えてもらいたい。
写真:ひぐらし ひなつ
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2017/11/18 16:18