「ひさびさだったので出られたことがまずうれしかった。そして、『また出られるチャンスがあれば』という思いが強くなった」
9月10日のJ2第32節・群馬戦で9試合ぶりにピッチに立った千葉のMF髙橋壱晟。高卒ルーキーながら開幕から先発に名を連ねるなど華々しいプロデビューを飾ったが、7月16日の第23節・熊本戦を最後に出場機会を得られず、最初の“プロの壁”にぶつかっていた。
だからこそ、群馬戦の感想を問うと、安堵感がこもった冒頭の言葉が最初に口についたのだろう。では、プロ1年目の“現在地” をどうとらえているのか。
「本当に苦しかった。みんなは『(出場できていないのは)たった数試合じゃん』と言うが、出られないのは悔しい。いまできることは何かということを考えて、考えて、思い詰めて…。人のいいところばっかりを見て僕もと。自分ができないことばかりやっていた」
苦悩とともに過ごしていた夏場の約2カ月間。その間はポジションを争う町田也真人や矢田旭というチーム随一のゲームメーカーの動きを盗もうとしたこともあった。それでも行き詰まり、さらに自分の心と向き合い続けてようやくたどり着いた答えが自身の武器を伸ばしていくブレない姿勢だった。
「也真人くんも旭さんも組み立てがうまい選手。そこはスゴイと思うが、僕は違うので。無理に全部やろうとせず、最初のころみたく、勢いでいけるぐらいやってみようと。もう一度、僕の特長であるゴールに向かうプレーを出していこうと、いましている」
チームはJ1昇格プレーオフ進出に向け、土俵際に追い込まれているが、「試合に出られていないのでやる気に満ち溢れている。なにか変化を起こしたい」。
いやにスッキリした表情でこう語る19歳が“救世主”となるのかー。期待せずにはいられない。
(千葉担当 大林洋平)
2017/09/15 19:13