柏のGK中村航輔が一瞬、向かって左に動いた。興梠慎三ははじめから右を狙っていたわけではなく、左に蹴ろうとしてGKを見て右に変えたのでもなかった。「GKを見てから決めた」。
これは4日に行なわれた柏戦、PKの場面。浦和にとって、この柏戦は暫定首位との直接対決で敗れ、勝ち点の未消化分を勝利しても逆転できない7差に離されると同時に、暫定ながら6位に転落する痛い敗戦となった。
その試合の中でペトロヴィッチ監督が「決まっていれば逆転してもおかしくない展開が作れていた」と嘆いたのが49分のPK。キッカーの興梠はゴール右を狙いながらも枠を捉えられず失敗してしまった。
興梠はあのPKを「GKを見て逆を取れたから、もっとコースが甘くても良かった」と振り返った。助走で2度、スピードを緩めながらGKを見て、左に動いたのを確認してから右に蹴ることを決めた。そこまではイメージどおりだった。相手が先に動くことを誘発しただけに「駆け引きには勝った」。ただ、「ギリギリを狙い過ぎた」ために外してしまった。「外したから結果的には負け。自分の技術ミス」だった。
外した直後には腰を折ってうなだれた興梠。「点を決めるチャンスだったので悔しかった」が、もはや気持ちを切り替えている。「次の磐田戦でまたPKがあったら蹴りたい。そして決めたい」。ストライカーとして、浦和のエースとして、この失敗を糧にする。
(浦和担当 菊地正典)
2017/06/08 18:08