日本サッカー協会は2日、20日に開幕するFIFA U-20W杯を戦うU-20日本代表メンバーを発表した。スペインの強豪・バルセロナの育成組織出身で15歳のFW久保建英(FC東京U-18)も飛び級で招集され、日本サッカーの将来を背負う期待の才能が初の世界大会に臨む。
この日久保は、翌日に控えたルヴァンカップ・札幌戦でのJ1公式戦デビューに備え、FC東京のトップチームの選手とともに調整した。練習後の取材対応にはテレビカメラ7台が並ぶなど、あらためて注目の高さをうかがわせた。
「代表に選ばれたことは素直にうれしいです」と笑顔を見せた久保。予選グループには南アフリカ、ウルグアイ、そしてイタリアといずれも強豪が揃う中、「出るからには一番の目標は優勝だと思っていて、そのためにはどのようなグループに入っても倒さなきゃいけない相手ではあると思います」と、いきなり“優勝”の二文字を出しながら強い意気込みを示した。
実に日本にとって5大会ぶりの出場となる今大会。これまでの日本の最年少出場記録は、79年日本大会の名取篤、風間八宏、97年マレーシア大会の南雄太、05年オランダ大会の森本貴幸(すべて前身大会のFIFAワールドユース)。いずれも17歳となっている。今回、久保は21日の初戦・南アフリカ戦を15歳で迎えるため、出場すれば記録は塗り替えられる。
世界中の名選手が出場してきた登竜門のような大会に向けて、久保はこう話した。
「サッカーはある意味、運が味方するかしないかのスポーツだと思います。自分はこれまで何度も運を味方につけてきた結果、ここいにいると思っています。(日本が)5大会ぶりの出場だということもあり、注目度は増している中で結果も残せれば、またこっちに運が向いてくると思います。全力で戦いたい」
左足のテクニックを生かしたドリブルやパス、さらには得点感覚にも優れた久保。世界を相手にそのプレーぶりが注目される。本人は謙虚さをにじませながらも、自信も垣間見せた。
「周りと違うという感じではないんですけど、誰が見ても『あっ、すごいな』と思えるようなプレーを何度か出せたらと思います。プレーの基準を作ってしまうと、それよりも上に行くことがあまりなくなってしまう。上の基準は作らずに、最低限みんなが見ていて楽しいと思えるプレーを見せて、チームの勝利に貢献したいです」
バルセロナ出身でドリブルが得意なレフティー。どうしても、同じ条件を持つリオネル・メッシに重ねられることが多い久保。ただ本人は臆することなく、「自分の好きな選手は、やっぱりメッシ選手」と堂々と語る。そのメッシは05年大会、6得点を挙げて得点王とMVPに輝き、アルゼンチンを優勝に導いている。当時18歳だったメッシも一世代飛び級での出場だった。
今回久保は、二世代飛び超えての出場となる。優勝を実現すれば、目標とするメッシを超える快挙にもなる。
「日本を代表する選手になるだけでなく、世界でもトップレベルの選手になりたい」
高い壁であることは間違いないが、弱冠15歳の若き天才は虎視眈々と頂を目指している。
写真:西川結城
(FC東京担当 西川結城)
2017/05/02 18:12