
今節・讃岐戦の出場を熱望するのが、千葉のルーキーで香川出身のDF溝渕雄志。中学を卒業後、関東圏にある流経大柏高、慶応義塾大に進学した経歴を持ち、地元での公式戦はいわば晴れ舞台。「メンバーに入ればアウェイに行くことになる。そうできれば、応援してくれている大勢の人や両親に成長した姿を見せられる。それが自分にとって、何よりも形にしたい恩返しになる」と、故郷で念願のプロデビューを狙う。
第10節を終え、ベンチ入りはあるものの、出場はゼロ。開幕スタメンを目標にしていただけに、「手応えをつかみつつ、すごく充実した時間を過ごせていた自負があったぶん、いまとのギャップを自分の中でうまく砕けない時間もあった」と振り返る。
その複雑な思いを払しょくさせてくれたのが、尊敬する先輩FW船山貴之の言葉。
「(第6節・)京都戦の週に2日にわたって、1日目に『元気なくね? 何歳なの?』っていうふうにはじまり『最初のほうが良かったわ。ガツガツしていたし、うっとうしいくらい動いていたじゃん』って。次の日の紅白戦の前には『対面する相手に負けたら、サッカー辞めたほうがいいよ』って真顔で言ってくれて…」
先輩の厳しくも愛のある問い掛けで、「『やばい。やらなきゃダメだ』って。その結果、良いプレーができた。結局、できないことやミスはすべて自分に依存していると理解できた」と、いまでは前向きに練習に取り組めている。
溝渕の改心を船山に向けると、照れ隠しなのか「イジっただけっすよ」と繰り返すばかり。でも、その目はどこかちょっとうれしそうだった。
(千葉担当 大林洋平)
2017/05/01 20:06