著者:天野 春果 (あまの・はるか)
発行:11月2日/出版社:小学館/価格:1,400円(本体価格)/ページ:234P
斜め上を行く企画の数々。日本一有名なJクラブ職員の仕事術
川崎Fのプロモーションを務める著者・天野春果氏ほど、著名なJクラブの職員はいないのではないだろうか。彼が名の知れた存在になった理由はただ一つ。川崎Fがホームゲーム時に見せる斜め上を行く発想からなるイベントが、Jリーグサポーターに衝撃と強い印象を与えたからにほかならない。その天野氏が上梓した本書は11年に同氏初の著書となった『僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ』の続編に近いものである。
今年、2016年も川崎Fは数々のイベントを開催した。そのどれもが規模感や巻き込む団体の大きさという点で、これまで以上にグレードアップしたように思える。映画『シン・ゴジラ』とのコラボ企画やISS(国際宇宙ステーション)と等々力競技場を結んだ生交信イベントが代表的なものだろう。本書にはそれら二つを含めたイベントがどういった経緯で企画されるに至ったのか、また実際に成功させるために、天野氏が何を考え、どう動いてきたのかが詳細に記されている。そして、中でも見どころなのは多くのプロジェクトを進める中、困難にぶつかった際にどうやって対処をしていくか、という点だ。
これらの企画を進めていく過程にはビジネスにおけるヒントが数多く散りばめられており、プロスポーツクラブがとある企画を成立させるため“だけ”に役立つものばかりではない。例えば天野氏は “自分の願望や思いを口に出して発信し続けること”や、“会いたいと思う人に会うためにさまざまなルートをたどっていく”ということを徹底的にやり続けている。この“行動力”は業種を問わずビジネスシーンにおいて、一つのプロジェクトを加速させ成功させるために必要なことだと、本書を読めば強く感じ取れるに違いない。
天野氏、ひいては川崎Fの成功体験は、“信念を持ってやり続けることが実を結ぶ”ということを示している。これから仕事や学業、スポーツなどさまざまな舞台で目標へまい進する者にとって、背中を押してくれる一冊となるだろう。
(川崎F担当 竹中玲央奈)
2016/12/04 12:00