前節・長崎戦でヒーローになったのは、0-0の後半ロスタイムにプロ初ゴールを決めたルーキー・永藤歩。だが、永藤の市立船橋高の先輩、山田拓巳もそれに負けない貢献度の高いプレーを見せていた。
山形が長崎のブロックを崩し切れず、疲労も重なり徐々に動きが停滞していた74分、山田はアルセウのフィードに反応して右スペースに飛び出すと、相手を振り切ってクロス。これはニアで引っかかったものの、こぼれ球に即座に反応し、相手と体をぶつけて競り合いながら、サポートに位置にいるアルセウにパスを戻した。
マイボールで味方につないだとは言え、クロスは味方に届かず、最後は後ろ向きに預けることになったプレーは直接相手を脅かすものではなかった。それでも、ボールに執着するプレーは、チームには強烈なメッセージを放っていた。プレーを振り返り、山田が言う。
「自分の仕事はそういうところだと思う。ちょっと(チームが)疲れてきているなという時間帯に少しでもスイッチが入るきっかけだったり、誰かがちょっと頑張って前に行くことだったり、迫力あるプレーすることでもう1回スイッチが入ると思うので」
このワンプレーをきっかけに、山形は動きを取り戻し、永藤の決勝ゴールまでの流れを作った。これで21位との勝ち点差は『6』。
「ホッとしてはいけないんですけど、プレッシャーからやっと解放された感じはある。すごい大きな1勝だった」
苦しいときこそ身を削って走り切る山田の存在は、いまのチームに欠かせない。
(山形担当 佐藤円)
2016/11/09 19:54