29日、ロシアW杯アジア最終予選のイラク戦(10月6日)と豪州戦(同11日)に臨む日本代表メンバーが発表された。
負傷していたDF長友佑都とDF槙野智章が復帰したほか、今季からフランスのメスに移籍したGK川島永嗣も復帰。また、中盤では鹿島のMF永木亮太がハリルジャパンに初招集された。
実に約90分間の長時間に及んだ、今回の発表会見。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の言葉からは、代表チームの厳しい現状が伝わってきた。
今回は試合登録可能な23名を超える26名の選手を選出。そのうち、15名が海外組となっているが、その多くが最近はクラブでの出場機会に恵まれない選手たちとなってしまっている。本田圭佑(ミラン)や香川真司(ドルトムント)、長友佑都(インテル)や長谷部誠(フランクフルト)、岡崎慎司(レスター)といった、これまで絶対的な主力としてプレーしてきた選手に加え、新たに代表を支える存在として期待されている清武弘嗣(セビージャ)や宇佐美貴史(アウクスブルク)、武藤嘉紀(マインツ)も、ベンチを温める日々が続いている。
「今回のメンバーリストを作るのは簡単ではなかった。多くの海外組が先発で出ていない。普通の基準で言えば、代表には呼べない。ただ、川島、長友、吉田、長谷部、清武、本田、岡崎、宇佐美、武藤と、彼らを除いて誰を選べるだろうか。かなり難しい決断だった」
わざわざ選手の名前を羅列してまで、自らの苦渋の決断を強調したハリルホジッチ監督。試合感覚の不安、さらには長距離移動からのコンディション不良など、今回も多くの懸念材料を抱えながらの戦いとなる。
その中で、指揮官は9月のチームマネジメントに自らの不備があったことを認めた。
「試合まで少ない練習日の中で、前回は例えば試合2日前の火曜日に戦術練習やミーティングを詰め込み過ぎた。ミーティングでは寝ている選手もいた。攻撃も守備も、すべてを伝えることが理想だが、そのためには本当は10日必要。今回は戦術練習をどこまでできるかは分からない」
とはいえ、前回の9月の2試合からメンバーが大幅には変化していない。不安を抱えながらも、ハリルジャパンはこれまでと同様の主力勢を中心にこの10月を乗り切ろうとしている。
「これまでの試合の統計はオープンになっている。その上でも、これまでの選手に対してネガティブにはなれない。選手たちを励ましていきたい。これまで長年、日本に貢献してきた選手を外すと、メンタル的にチームは崩壊する。メンタルが大事とはそういうことです」
すでに最終予選で1敗を喫し、今回の2試合は「メンタル、自信が最大のテーマ」としたハリルホジッチ監督。苦しいチーム状況を払拭するには、信じるメンバーでの勝利しかない。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当)
(BLOGOLA編集部)
2016/09/29 18:45