25日に行われたJ1・2nd第13節の広島戦に3-0で勝利した浦和。チームの3点目は高木俊幸が決めたが、アシストした宇賀神友弥は実に彼らしいプレーでゴールを導いていた。
宇賀神は武藤雄樹からボールを受けて高木にパスを送るまでの約2秒間に逆サイド、高木と同じように裏に走る興梠慎三を確認したのち、“最も危険な位置”に走り込んだ高木を選択した。試合後に「ミシャ(ペトロヴィッチ監督)から常に3つの選択肢を持っておけと言われている」と監督の要求どおりのゴールであることを明かしていた。元広島の選手以上に「ミシャの申し子」と言われる宇賀神らしい言葉だ。ただ、“彼らしい”のはそこだけではなかった。
宇賀神は武藤からボールを受けた時点で中央にポジションを取っていた。得点の9分前にストッパーからポジションを変えていた宇賀神だったが、変更後の位置は本職の左ワイドであり、当然のことながら中央のポジションではない。ではなぜ宇賀神はあの位置にいたのか。
「あの場面はまず自分が高い位置を取りかけたときに一旦(相手にボールを)奪われて、その時点でミキッチ選手がスプリントせずに結構低い位置にいたので、ミキッチ選手と駆け引きするよりは、まず真ん中の危険な位置を埋めようと思って中に絞りながら戻ろうとした。そのタイミングで(チームが)もう一度奪い返した」。つまり、「ボールを受けるときに駆け引きしたのではなく、守備に帰ろうとしたポジショニングが中だった」ということ。
映像を確認すると確かにボールを失った瞬間、宇賀神はサイドから中央へ斜めに戻っていたことが確認できる。守備を考えてのことではあったが、その高い戦術眼と危機察知能力を発揮したことであのポジションを取り、そして結果として得点につながった。広島戦の勝利を決定付け、高木の今季リーグ戦初ゴールを生んだアシストには、宇賀神の能力、魅力が詰まっていた。
(浦和担当 菊地正典)
2016/09/28 17:40