浦和にとって25日のJ1・2nd第13節の広島戦は特別な一戦なのかもしれない。ペトロヴィッチ監督をはじめ、西川周作、槙野智章、柏木陽介、石原直樹、李忠成、森脇良太と広島に在籍した選手が多くいるからだ。だが、彼らとは違った思いで広島戦へ特別な思いを持つ選手がいる。高木俊幸だ。
高木は昨季の2nd第7節、埼スタで行われた広島戦でリーグ戦12試合ぶりの先発出場の機会を与えられた。しかし、結果は1−2で敗戦。高木はPKを外すなどチャンスをモノにすることができず、リーグ戦での無敗が19試合で止まった責任を感じて涙を流した。
「去年、優勝できなかった要因の一つになった試合だったと思う。結果を見ればそうだと分かるし、PKを蹴ったのは自分で、それが結果的に試合に響いてしまった」
ただ、今では冷静に振り返ることもできる。「だけど、あの試合は動きが悪かったわけでない」。事実、広島の12本に対して倍近い23本のシュートを放つなど内容では圧倒した試合で、多くのチャンスに絡んだのが高木だった。「広島相手に得点を決めたこともあるし、去年のあの試合があったから苦手意識があるとか、過度に『やってやろう』とガチガチになっても仕方ない。次の試合は広島だ、と普通に思ってプレーしたい」。特別な思いをプレッシャーにするのではなく、平常心で臨むことが重要だと高木は考えている。
「マンツーマンである以上、1枚剥がせばチャンスにはなると思うので、ドリブルだけじゃなくて駆け引きの部分でも、動きの部分でも勝ちたい。手強い相手だし来るチャンスも少ないだろうけど、しっかり決めきってスキを与えない試合にしたい」。あの時と同じ場所での同じ相手に対し、持ち味を出して試合後に笑顔を見せることができるか。
(千葉担当 菊地正典)
2016/09/23 18:18