FW我那覇和樹はいま、讃岐でDFをやっている。
「日本代表FWまでも務めた我那覇がなぜ?」と思う人も少なくはないはずだが、その始まりはJ2第24節・京都戦を前にしたトレーニングだった。守備陣での負傷が相次いでいたことに加えて、その前の試合でCBとしてプレーをしたアランが出場停止。本職のDFがエブソンしかいなくなったことで白羽の矢が当たった一人が我那覇だった。
スクランブル状態で戦ったその京都戦でチームは敗北を喫したものの、失点はPKによる1失点のみ。意外なまでに急造3バックは機能した。この“DF我那覇”は一時的なものかと思われていたが、それ以降のすべての試合で我那覇はDFとして先発。離脱していた守備陣もすでに復帰をしているが、北野誠監督は「この夏になるとタテ一辺倒の攻撃をしていては選手たちの体がもたない。でも、ガナ(我那覇)が後ろにいてくれたらボールを持てるし、ビルドアップできる」とDFとしての我那覇を、“本職”を凌ぐほどに高く評価している。
我那覇もDFとしてのプレーに積極的だ。元代表FWとしてのプライドよりも「試合に出られることのうれしさのほうが大きかった」とポジティブな気持ちが先行し、逆に「この歳になってまたプレーの幅が広がると思って積極的にやっている」と新たなポジションに大きなやりがいを感じている。また、J2第26節・山形戦(2◯1)では試合途中からFWにポジションを替え、ゴールを奪うなど点取り屋としての存在感もあらためてキラリ。今後もFWとDFの二刀流で活躍してくれそうだ。
写真:松本隆志
(讃岐担当 松本隆志)
2016/08/10 19:46