苦戦の続いた長崎だが、J2第13節の山形戦でJ2参入以来一貫して継続していた[3-4-2-1]のシステムから[3-5-2]へと変更。以来、1勝2分、5得点2失点(1試合平均1.67得点0.67失点)と着実に立ち直りを見せている。それまでの11試合8得点18失点(1試合平均 0.73得点1.64失点)。という数字と比べれば大きな改善と言えるだろう。
この[3-5-2]については、高木監督によると、苦戦の中から苦し紛れに採用したものではなく、今季の戦力や選手の個性を考えた上で、シーズン前から「システムの資料を集めて検討していたもの」だという。「システムチェンジにあたって意識したのは得点、そして役割を分かりやすくした」というとおり、攻撃に関しては前線を2トップにしてボールの出しどころを増やし、守備に特化した1アンカーを配置することで中盤の役割を明確化している。
本来、この1アンカーは攻守両面で起点となれるだけの、かなり高い能力を持つ選手が務めるのが常だが、長崎では1アンカー2シャドーが個性を組み合わせて、状況にあわせて役割を分担することで対応している。現状では守備が得意な田中裕人と前田悠佑、攻撃が得意な梶川諒太が務めているが、この3人の連係が乱れれば、この役割分担は弱点になりかねないが、いまのところはうまくいっていると言える。特に守備の二段構えとも言える田中裕、前田が縦に並ぶ形は守備を大きく向上させた要因だ。
今後は決定的なパスが出せる養父雄仁や展開力の高い小野寺達也、ロングフィードに優れた宮本航汰といった選手をどう組み合わせていくかが課題となるだろう。それが新システム[3-5-2]の攻撃力をより高めるカギとなるはずだ。
(長崎担当 藤原裕久)
2016/05/31 11:35