15日の熊本戦で2ゴールを決めて千葉を勝利に導いた町田也真人。試合後のヒーローインタビューを終えて一人向かったのは、千葉サポーターやチームメートのところではなく、熊本サポーターのところだった。
熊本にとっては震災後初のリーグ戦ということで、この日のフクアリには今季最多の14,163人の観衆が集まった。試合後には熊本の選手たちが場内を一周。スタジアム中から「熊本がんばれ」というエールが鳴り響き、千葉の選手たちも熊本サポーターが待つゴール裏へと足を運んだ。「自然と足がそっちに向いていた」(佐藤優)という選手たちは熊本サポーターに一礼すると、いつもどおり千葉サポーターが待つゴール裏へと歩みを進み始めた。
その後、ヒーローインタビューを受けていたためチームの輪から離れていた町田も、一人で熊本サポーターのほうへと向かったのである。
「自分の中でも地震に対して考えることがあった。何か自分にできることはないかと考えていた。千葉のサポーターも試合前に『熊本コール』をして、熊本サポーターも『サンキュー千葉』と言ってくれていた。そのような雰囲気の中で得点を決めさせてもらった感謝もあったので、挨拶に行きたかった。ほかの千葉の選手は(自分より)先にあいさつに行っていたけれど、誰も見ていなくてもいいから挨拶だけはしたかった」(町田)。
誰も見ていなかったかも知れない。だが、町田の気持ちは、熊本サポーターの心には確実に届いたはずだ。
写真:徳丸篤史
(千葉担当 松尾祐希)
2016/05/19 14:47