3月12日の明治安田J1・1st第3節・湘南戦に足を痛めて前半でピッチを退いてから、スターティングイレブンに佐藤寿人の名前はなくなった。34歳になった佐藤はいま、広島に来て初めて経験する境遇と向き合っている。
前節・鹿島戦で69分からピッチに送られ3試合ぶりに出場したが、2点のビハインドを負ったチームを救うことはできなかった。「2点差での途中出場はたぶん広島に来てからはなかった。仙台時代までの遡ることになると思うけど、若い頃とは違って経験を積んできた今だからこそチームを救えるようなモノを出していかないと」と佐藤は話す。ずっとスターティングイレブンに名を連ねてきた佐藤にとって、「確かに途中出場の難しさはある」。ただ、だからゴールが奪えないなどと言うつもりはない。
「スタートからじゃないと仕事ができませんっていうんだったら、スタートで出続けられるチームに行けばいい。上を目指すチームの一員としてやっているわけで、途中からでも目に見える結果を出していかないと。監督も何かしてくれると期待して送り込んでくれていると思うんで、しっかりと応えていきたい」
世間は川崎FのFW大久保嘉人とのJ1通算最多得点の争いに注目する。その中でも、「嘉人と競争しているわけじゃない」と言う佐藤は、「もちろんゴールを積み上げていきたいけど、チームが勝ってタイトルを奪いくことが一番大事で、そこに個人の記録は関係ない。5分だろうが90分だろうが、チームが勝つために何ができるか」と続けた。
スターティングイレブンから名前がなくなっても『チームの勝利のためにゴールを目指す』佐藤の指針は変わらない。
写真:六川則夫
(広島担当 寺田弘幸)
2016/04/14 10:02