羽生直剛が「嫌らしいポジション」について語ってくれた。クロスをどう得点に結びつけるか――。これが、今週甲府が取り組んでいるテーマだ。ペナルティーエリア内でフリーの選手を作れば、得点の確率は高まる。しかし168cmの羽生は「僕が頭で合わせることは難しい」と口にする。彼の仕事は「頭で合わせられる選手へボールが行くように相手を引っ張る」ことだ。ただ可能性がないタイミング、スペースに走り込んでもDFは釣られない。羽生曰く「タイミングが早すぎたら、DFは自分を離してしまう」し、「明らかにオフサイドというタイミングで出たら、誰も引っ張られない」。しかし「ギリギリのポジションで、駆け引きしてから出て行く」ことで、相手のラインが下がり、味方のスペースも空くのだと言う。もっともあまりいいところに走り込み過ぎると、おとりの羽生が本命の選手と重なって得点につながらない。嫌らしさの実行には、深い配慮と知性が必要だ。
(甲府担当 大島和人)
2013/03/07 18:17