関東大学サッカーリーグをもっと知ってもらうために、OB選手が大学時代を振り返る連載企画。15回目の今回は早稲田大OBの兵藤慎剛が大学サッカーを語ってくれた。
■プロフィール
MF 7 兵藤 慎剛(ひょうどう・しんごう)
1985年7月29日生まれ、31歳。長崎県出身。172cm/68kg。茂木サッカースポーツ少年団→海星中→国見高→早稲田大を経て08年、横浜FMに加入。05年のユニバーシアード・イズミル大会日本代表として金メダル獲得に貢献。07年度のインカレではMVPに輝く活躍で早稲田大を優勝に導いた。
――同年代の選手には高校卒業後Jリーガーになった選手がたくさんいます。その中で兵藤選手は大学サッカーの道を選択しました。
「たしかに高卒でJリーグに進んだ選手はたくさんいますね。同じ国見高の中村北斗(現・福岡)をはじめ、増嶋竜也(現・柏)やカレン・ロバート(現・ソウルイーランドFC)、水本裕貴(現・広島)、豊田陽平(現・鳥栖)、水野晃樹(現・千葉)、苔口卓也(現・富山)、あといまのチームメイトのパンゾー(小林祐三)やマチ(中町公祐)もそうですよね。選手権やインターハイで対戦した選手がたくさんプロになった年代だと思います」
――兵藤選手が進学した早稲田大は当時、東京都1部リーグに所属していました。
「本当なら関東大学リーグの2部に上がっているはずだったんですけどね(笑)。僕が入学する前の年の終盤に結果が出なかった。でも早稲田大は同期に鈴木修人(元・鹿島、現・明治学院大コーチ)や山本脩斗(現・鹿島)といった実力ある選手がいました。ほかの大学の同期では平山相太(筑波大→現・FC東京)や本田拓也(法政大→現・清水)、田坂祐介(青山学院大→現・川崎F)、鎌田次郎(流通経済大→現・仙台)、関憲太郎(明治大→現・仙台)らがいましたね。早稲田大だと2学年上の先輩に徳永悠平さん(現・FC東京)やヤジさん(矢島卓郎、現・横浜FM)がいて、その年代は筑波大に(藤本)淳吾(現・横浜FM)さんもいた。高校サッカーで結果を残した選手を集め始めた時期で練習のレベルも高かったです」
――年代別代表に選ばれていた兵藤選手は、プロになった選手から話を聞く機会も多かったのでは?
「自分はワールドユースのメンバーに入っていましたが、その中にはJリーグで試合に出始めている選手もいました。やっぱり刺激になったし、自分もプロの世界に行きたいと思うことはありました。ただ、年代別代表でプレーしても差を感じることはなかったし、1年生のときから横浜F・マリノスに練習参加する機会があったので、そこで自然とプロとの“ものさし”を作っていました」
――部活動の大学サッカーならではのエピソードはありますか?
「当たり前だけど、プロと比較すれば環境は整っていません。早稲田大の場合、僕が1年生のときは土のグラウンドで、練習前後に整備するのは1年生の役割でした。それと練習で使用したビブスは寮生が洗わなければいけない。僕の年代は1年生が6~7人いたので、ちょうど週に1回ずつ100枚くらいのビブスを洗いました。組織の中の一番下の役割をやっていたわけです。当時は大変だったという記憶しかないけど(笑)、社会に出れば当然なので良い経験になりました」
――プロを目指すと同時に大学生でもあるわけです。出会いも多かったのでは?
「数えきれない出会いがありました。一般入試の人がいれば、浪人して入ってきた人もいる。サッカー部に限っても、いろいろな選手がいました。自分のようにスポーツ推薦で入った選手はサッカー中心の生活をしてきたけど、一般入試を受けて入ってきた選手はミーティングの機会にこちらが思いつかない効率的なアイディアを出せるんです。社会はそういう人間の集まりなので、大学は『プレ社会人』として学べる場でもありました。それといまや時の人であるラグビー日本代表の五郎丸歩や畠山健介は同じキャンパスで同じ授業を選択したりしていました。学科は違ったけど同じ授業を選択する機会も多かったんです。彼らが日の丸を背負って活躍しているのを見ると刺激になるし、貴重な出会いだったなとあらためて感じますね」
――最後に、大学サッカーとともに過ごした4年間の総括をお願いします。
「4年というのは短い時間ではない。でも自分次第の環境だと思います。常に何をするか考えないといけないし、そういうところでいろいろ勉強になりました。大学はいろいろな考えを持った人間の集団。同じ物事を異なる角度から見る経験ができたのは、人生経験という意味でプラスになりました。大学サッカーに進むことを決断したのは自分ですし、それが良かったと思えるようにするのも自分次第。今後も大学サッカー出身選手として胸を張ってプレーしていきたいです」
10月24日(土)、25日(日)はJR東日本カップ2015第89回関東大学サッカーリーグの第19節。兵藤選手がプレーした早稲田大が、ライバル校の慶應義塾大と首位攻防戦を繰り広げる、“早慶戦”も開催されます。詳しくは(一財)関東大学サッカー連盟オフィシャルサイトへ!
(聞き手:横浜FM担当・藤井 雅彦)
(BLOGOLA編集部)
2015/10/21 18:19