チームの練習が終わる頃、リハビリ中の松原健がピッチに姿を現した。4月下旬に右外側半月板の手術を受けて以来、室内トレーニングが続いていたが、7月3日から外に出て体を動かし始めたのだ。
ファンサービスゾーン横のピッチで、真剣な表情でメニューをこなしていると、どこからか「マツケン!」という甲高い声がする。声の主は、女性ファンを装ったコルテース。気づいた松原は、思わず笑顔になった。
コルテースがよくやる、かわいいいたずら。松原にしかけた場面について本人に尋ねると、意外な思いを話してくれた。「ときどきマツケンが一人でいる姿を見ると、一緒にサッカーができず、ふがいない思いをしていることが伝わってくる。僕も一緒に戦えないのは辛い。彼がリハビリをしているときは、声をかけるようにしているよ。サポーターのふりをして呼ぶと、いつも笑ってくれるんだ」。そこには、仲間を思う温かな気持ちが隠されていた。
(新潟担当 野本桂子)
2015/07/05 17:22