「起こったことがあるから」。そう言って笑ったのはDF那須大亮だった。前節の鳥栖戦の引き分けで優勝が極めて苦しくなった浦和だが、那須は実体験を元に諦めるつもりはない。
それは2003年2ndステージ最終節のこと。那須が当時、所属していた横浜FMは3位で首位の磐田と対戦したが、自身が勝った上で2位の鹿島が引き分け以下に終わらなければならない「他力も他力」という状況だった。さらに、「前半で10人になるし、0−1で負けているし、逆転しないといけないし、他会場は前半で鹿島が2−0だと誰かが言っていた」と追い込まれた。しかし、横浜FMは後半に同点に追い付くと、89分のゴールで逆転勝利。さらに鹿島も終了間際に追いつかれたことで、奇跡のステージ優勝を成し遂げた。
覚えている方も多いだろう。鹿島を相手に2点ビハインドから追いつき、いわば奇跡の功労者となったのは他ならぬ浦和だ。経験者である那須とともに、今後は奇跡の主役へ。「最後まで諦めないという気持ちでやれていたからこそ、あの結果が起こった。残り1秒まで何が起こるのか分からないのがサッカー」だ。
(浦和担当 菊地正典)
2014/12/03 17:39