チームの好調、さらにはW杯における大久保嘉人の”サプライズ選出”の影響もあって川崎Fの練習場には老若男女を問わず、ファンがあふれ返っている。
現在は夏休み。7月30日水曜日の練習ではクラブの”顔”である中村憲剛が10人近くのサインを求めるサッカー少年達に囲まれた。そして、「ケンゴ!!」と呼び捨てされ最初は苦笑い。しかしそれでもはちきれんばかりの笑顔で対応し、自分の後に続いた西部洋平にも呼び捨てでサインを貰おうとする子供達には「西部”選手”でしょ!」としつける(?)場面も。プロサッカー選手としてまさに”お手本”とも言える対応であった。暑い中、多くのファンに対応するには体力的にも精神的にも疲れそうではあるが、それについて問うと「サインをもらいに来てくれるのだからありがたいと思って。それを、ああいう風に楽しくやれれば子どもたちにとってもいい思い出になりますし」(中村)と答えた。
そしてなにより、彼自身もそのようなサッカー少年の一人だったようだ。
「俺もああいう子どもたちだったしね。『カズ!!』とか言っていたし、等々力にも行っていた。開幕した93年のころ。そうやって続くんだよね。いま、(自分のところに)来た子どもたちの中から『昔、サインを書いてもらったんだよね』と言って、こういうふうに取材されて話してくれたらいいな、なんてね。こういうことが大事。(プロサッカー選手は)サッカーをやるだけではダメなんですよ。こういう対応もちゃんとやって、サッカー以外のところでもアピールしていかないと。なんでもかんでもJリーグを見に来てくれる人ばかりじゃないから。他にも世の中には楽しいことがいっぱいあるし。それをどれだけの人間が分かってくれるか」と自身の年少時代を振り返り熱弁。
ピッチ上で彼が際立っているのはここで記す必要はないだろう。ただ、ピッチ外の行動でも”中村憲剛”という一人の人間は魅力に溢れる人間だということを、肌で感じさせてくれた一幕であった。”頭が上がらない”とは、まさにこのことである。
(川崎F担当 竹中玲央奈)
2014/08/01 19:43