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厳しい環境での成長

――日本とカンボジアの国の文化の違いで戸惑いやカルチャーショックはありますか？

「カンボジアは日本のように発展していない国なので、いろいろな面でショックを受けました。例えば道路は日本のように整備されていないですし、逆走が当たり前で、バイクの4人乗りもあります。その点では驚きましたね」

――食事はどうしていますか？

「4月から妻もカンボジアに来たので、近くのスーパーマーケットに買い物に行って、食事を作ってくれています。それまでは単身赴任だったので、日本料理店に食べに行くことが多かったです。カンボジア料理もおいしいんですよ。オススメはカンボジアの伝統料理の一つで『アモック』。魚のココナッツミルク煮です」

――現時点で、カンボジアでの経験をどのように捉えていますか？

「Jリーグでプレーしていたときよりは、絶対に経験できない経験をしています。人間性の部分やメンタル面、そしてサッカーの面はもちろんですけど、すごく成長できたと感じているので、厳しい環境に身を置いたことは間違っていなかったと思っています。いまはチームのために、トップ4に入るという目標を掲げていますので、それに向けて全力を尽くしたいと思っています」

――カンボジアでの経験を経て、将来的にはどんな選手になっていきたいのですか？

「カンボジアと日本の架け橋になりたい、カンボジアの子供たちに夢を与えるようなプレーヤーになりたいな、と思っています。サッカーを見に来てくれて、サッカー選手になりたいなと感じてくれるといいなと。また『日本のサッカーはこうなんだよ』ということも知ってもらいたいですね。もちろん、カンボジアで何年もやり続けたいという気持ちはあります」

――町中で声をかけられることもあるのでは？

「最近ちょっと増えてきました。来た当初は声をかけられることはなかったのですが、最近は話しかけられるようになりました。カンボジアの人たちは日本のようにサインをもらうという習慣はないので、『写真を撮って』と言われることが多いですね。例えば日本のようにチームのユニフォームを買って、それにサインをするという習慣はないんです。これからだとは思うのですが」

――これまで所属していた大宮と福岡のサポーターにメッセージを。

「いまでも大宮や福岡のサポーターの方にはメッセージをいただいて力になっていますし、励みにもなっています。遠い日本から応援していただき、感謝しています。カンボジアのサッカーをもっと知ってもらえるように努力して、そして、ACLやAFCカップにも出られるように頑張りますので、これからも日本からの応援を期待しています」

――今年からタイでプレーしている橋本早十選手（チョンブリFC、大宮でのチームメート）から「体調には気を付けてください」というメッセージをいただいています。

「トライアウトで早十さんに会って、『お互いにチームが決まるといいね』と話していたのですが、お互いにチームが決まって良かったです。異国の地ではありますが、お互いに頑張りましょう」

――最後に本紙読者にもメッセージをお願いします。

「こちらの情報を少しでも日本に届けられるように、精いっぱい頑張ります。まずは少しでもいいので、トライアジア プノンペンFCというチームに注目してください。そして、カンボジアのサッカーを知ってもらえるように努力します。応援よろしくお願いします」

（プロフィール）
木原 正和（きはら・まさかず）
1987年4月19日生まれ、27歳。山口県防府市出身。165cm/59kg。桑山中→広島ユース→阪南大を経て、2010年大宮に加入。12年に福岡へ期限付き移籍、13年からは完全移籍でプレーした。Jリーグ合同トライアウトをきっかけに、14年からカンボジア1部リーグのトライアジア プノンペンFCへ移籍。スピードに優れたアタッカーで、広島ユースの同期には柏木陽介、槙野智章（ともに浦和）らがいる。J1通算1試合出場、J2通算24試合出場3得点。