「全勝宣言」から連勝は2でストップしてしまったものの、圧巻のパフォーマンスでチームの屋台骨を支えている大迫選手。新システム[4-2-3-1]へシフトしてからというもの、(大迫選手が出場した)チームは3試合で9得点。その爆発的な攻撃力を引き出しているのが1トップに君臨する彼であることは明らかです。
しかし、FC東京を5-1で一蹴したあと、ナビスコ杯準決勝・柏戦2ndの前。チームの攻撃を引き出す驚異的なキープ力について尋ねると、大迫選手は「普通のことですよ?」と一切表情を崩しませんでした。それどころか、「あとは点が取れればね…」と心底悔しそうにしていました。
そもそもU-23日本代表でも1トップを務めていましたが、「(代表とは)結構、違うよ」とのこと。「(鹿島では)自由にやらせてもらっているし、やれている」。そして、続く先述の柏戦では1ゴール1アシストの大暴れ。本人が欲していたゴールも生まれました。
「やっと取れたね。やっぱり点取ったほうが楽しい。楽しいことしたいからね。あとは(外してしまった)PKぐらいだったでしょ?」
一切の満足を見せなかったFC東京戦ですが、柏戦では珍しく頬を緩めていました。いつも思うことですが、大迫選手に話をうかがうと、必ずと言っていいほど「点」という言葉を使います。どれだけチームに貢献した試合の後でも、ゴールがなければ「点」の語尾には「を取らなきゃ」、「を取ります」と付いてきます。この日もアシストについてはほとんど触れませんでした。かつて全国高等学校サッカー選手権大会で歴代最多得点記録を塗り替え、“ハンパない”とまで称されたストライカーが常に狙っているのは「ゴール」であり、自身の充足感を満たすのは「ゴールの量産でしかない」――。そうあらためて感じた、印象的な出来事でした。
そういえば、五輪の本戦メンバーから外れた際、興梠選手が「別に(五輪に)行ったからってそれが全部じゃないし、そのあとが大事。行くことはすごいことかもしれないけど、チームで結果を出さないとA代表での出場にはつながらない。A代表で出ることが選手一人一人の目標だと思うし、これをバネにして。アイツなら(A代表に)行ける実力はある。大丈夫」とかばっていました。個人的には今、その“ハンパない”実力の片鱗を見ている気がします。
(鹿島担当 村本裕太)
2012/10/19 14:26