10日、鹿島アントラーズクラブハウスに蔚山現代の増田誓志が訪れ、土居聖真と共に自主トレーニングで汗を流した。今年初旬、蔚山に完全移籍した増田にとって鹿島は古巣。久しぶりの慣れ親しんだクラブハウスにリラックスした表情を浮かべていた。
ただ、古巣同様に蔚山も最終節で涙を飲むシーズンだった。Kリーグのタイトルをほぼ手中にしておきながら残り2節を連敗。最終節、2位浦項との直接対決に敗れ、勝点1差でタイトルをかっさらわれてしまった。しかし、神戸に移籍したエステバンに代わる中盤の要として、蔚山に移籍した増田はつねに高い評価を得る活躍を見せた。そして、増田にとっても鹿島を飛び出し、韓国で過ごした1年で得たものは大きかったという。
「孤独感と言ったら変かもしれないですけど、そういう感覚はここ(鹿島)では絶対に得られないじゃないですか。でも蔚山ではどんなに仲間、チームメイトだと言っても、韓国人とガイジンの線引きはあった。そのなかで、チームの輪に入っていくためには、結果を残さないといけなかった」
今後、欧州移籍を見据える増田にとって、その経験はかけがえのないものになる。
「韓国でガイジンという意識を持てたのはよかったと思います。この感覚を持てないと海外ではやっていけない、ということに気づきながら、試合にも出ることができた。直接、欧州に行ってたら、僕はたぶん消えてたと思います」
新年2日から始動するという蔚山。ACLへの出場権を得ており、横浜FMと同組となっている。
(鹿島担当 田中滋)
2013/12/10 18:30