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[インタビュー]Jリーグはなぜいま改革を進めるのか ~中西大介 Jリーグ競技・事務統括本部長に話を聞く
メッセージはJリーグに伝わっている
情報の開示、共有の必要性
――少し振り返ります。大会フォーマットに関しては、スタジアムで反対の横断幕も出ていました。サポーターとの情報共有が進まなかったことも問題でした。
「最初の段階で進まなかったですね。最初からこういう話ができれば良かったのですが。エルゴラにも『数%しか賛成はいない』と出てしまったから…(笑)。ボクらが持っている数字とは、かなり違っているのですよ」
――その数字とは?
「Jリーグでは、『今まで21回以上スタジアムに行ったことがある人』を対象に『ポストシーズン制について』アンケートを取りました。それだと半分が反対で、3割くらいが賛成。エルゴラには『2ステージ制について』と設問がなされていましたから、そもそも前提が違います。ボクらが持っている数字だと、『観戦回数が年間10回以下』の人たちは、『なんらかの改革を行い、大会フォーマットを変えたほうがいい』という割合は、反対よりも賛成が上回っていました。6万サンプルのインターネット調査で無作為抽出です。都道府県別に比率をならして。6万サンプルでやっていますから、信憑性は高いと思います」
――弊紙のアンケートは局地的だったかもしれませんが、こういった結果が出たことについては?
「まず、ありがたいと思いましたね。多くのファンにJリーグは支えられているのだな、と。真剣ですからね、それはお互いに。ですから、こちらがしっかり情報を開示すれば、キッチリとした話し合いができるのではないかということが一つ。そして、もともとの情報(2ステージ制ありき)が間違っていると、こういう結果になるのだな、というのが一つ。同じ情報を見て、『どうする?』と話し合えば、意見というのはそんなに変わらない。片方だけしか情報がない場合、意見は偏る。持っている情報を共有するようになれば、もっといろいろな議論ができて、スムーズに進むのではないかと思います」
――7月30日の戦略会議進捗情報のメディアブリーフィングに出席して情報を開示されたときに、『こういうことが話し合われていたのか』と驚いたことを覚えています。ここのところはリーグ側が情報を開示し始めていますね。
「Jリーグ開幕当時、企業名をチームに入れない理由などを、川淵チェアマンがテレビで説明したことは大きかったと思います。『Jリーグはそういう考え方なのか』と、一般層にも認知してもらえました。いまもこれだけJリーグのことを考えてくれる人がたくさんいます。ちゃんとしたコミュニケーションを取れば、逆に力になると思いました」
――横断幕のメッセージ、そして声は届いていたと。
「届いていました。と同時にこちらの情報開示を間違ってはいけないと強く感じました。私はJリーグのリーダーの一人として、創業当時のスピード感を取り戻したいという思いがあります。川淵さんは『走りながら考える』と言っていましたね。経営には二つの戦略があって、『計画的戦略』と『創発的戦略』です。『計画的戦略』というのは何年かのスパンでこういうふうに成長させていくという戦略。ただ、『計画的戦略』どおりに進めて成功することは難しい。途中で少しずつ手を打っていくと、必ず変化が起こります。走りながら浮かんでくるモノをスピーディーに生かしていくことで、企業の成功も決まってくる。『計画的戦略』も大事だけれど、『創発的戦略』のほうがもっと大事だと考えています。世の中と接しているからこそ、『創発的戦略』が出てくるからです。ボクはJリーグが当初成功したのは、『創発的戦略』がとても優れていたからだと思っています。世の中に出してみる、うまくいかなかったら引っ込めて、次を出してみる。成功するまで出していく。若い集団としての成功の要素を備えていた気がするのです。
いまは40クラブに数が増えて、あのときほどスピーディーに決められない環境になってきています。20年間の実績を積んできたクラブと、去年入ってきたクラブが混在しています。予算にしても50億と3億の隔たりがある。その中で物事を決めていくのは困難な部分が確かにあります。でも、物事が決まらず『ゆでガエル』状態が進むと、その組織文化が、Jリーグが壊れると思っているのです。昨季のJ1昇格プレーオフに関しても、さまざまな反対意見は出ましたが、決定から実行するまでが早かった。J3もそうです。そういうスピード感を組織として取り戻したいと意識してきました。今回は、先に報道が出たことによって、そのスピード感で2ステージ制もやられるんじゃないか、とファンが反応したところもあった気がします」
――ほぼ決定というニュアンスの印象を受けました。
「そうではありません。この何週間かのコミュニケーションを取る期間はすごく良かったと思っています。取材に応じながら、ブリーフィングに出席しながら、背景について理解していただいた。『打ち手としてどうなのか』という意見はたくさんあると思います。でも、背景の理解は進んだと思っています。背景についての共有が進めば、いろいろな案が出てきますが、最後に『これをやってみよう』という流れになるのは、今までに比べて随分と良くなると思っています」
――分科会を経て、『これは名案だ』というのはなかなか出てこないものですか?
「プロサッカーリーグでの改革にどれだけの種類があるでしょうか? それがあるなら、サッカーが盛んな各国はどこでもやっているはずです」
――確かに、戦略会議に出席した各クラブの代表者も「問題点は分かるが、打ち手が難しい」と口々に話していました。
「その時間は無駄ではないと思っています。『危機だ、危機だ』と声高に叫んでも、それだけで危機感は共有できません。リアルな数字を見たり、何時間も一緒に過ごしたりすることで、『これは本当にゆでガエルになるかもしれない』と気付く。だからフェイスtoフェイスで議論することは必要です。共有できた次に、どうするかというフェーズになる。先ほども言いましたが、プロサッカーにおけるイノベーションって本当に種類があるのでしょうか? FIFAに加盟し、各国にリーグがある。一国一協会一リーグでピラミッドを作っています。競合があるわけではありません。日本で言うと、プロ野球に対しての差別化とか、良い選手を取る上での米国や中国のリーグがライバルだとか、あるいはスポンサーを持っていってしまうマンチェスターUがライバルだとか、それはある種の競合ともいえますが、戦略としてどこと競合するかは当然、考えます。しかし、ビジネスのやり方を変えて、試合のやり方を変えて、Jリーグだけが成功するということは無理です。打ち手は限られる。となるとディテールの改善です。それを思い切ってやるか、やらないかの違いなのです」
具体的な“ディテール”をどうするか
「FIFA加盟国のうち約40%の国のリーグが、なんらかの異なる大会フォーマットでリーグを運営しています。イングランドのサッカー雑誌『ワールドサッカー』がプロリーグのランキングを発表しましたが、Jリーグは11位でした。FIFAランキングが30位だから…、とよく協会に言っていますが(笑)。では、上位10カ国はどこか。1位はブンデスリーガ、2位はリーガ・エスパニョーラ、3位はセリエA、4位ブラジル、5位オランダ、6位メキシコ……となっています。トップ10の中でもブラジルはちょくちょく大会フォーマットが変わりますし、アルゼンチンは2ステージ制。メキシコはカンファレンス制がある。ベスト10の中でも、UEFAのヒエラルキーに固定されないやり方をやっている国がたくさんあります。ある種ヨーロッパの5大リーグは王道でできるから強いんですよね。将来的には、Jリーグも王道で勝負したい。でも、いまのままやっていてもたぶん追い付かないので、迂回路を考えています。進歩史観というのがあります。理想的な社会があるとして、歴史はそれに近付いていっていると考える思想です。では、本当にそうなのか。ダイナミックに違う社会になる可能性を秘めているのがこの世界なのでは? 10年後のサッカー界がどうなるかを考えると、いま固定化されているモノとは変わっている可能性もあります。環境が変わっていったときに、固定化されたヒエラルキーの中で、世界で先行するのはどういう考え方なのかを議論しているのです」
――改革として打つことは限られているとおっしゃいました。現在、大会フォーマットの変更に関して言えば、ある程度はしぼられてきているのですか。
「いま言えることは限られるのですが、変えるとしたら二つに限定されています。それは、過去と同じやり方ではありません。実行委員会で議論された上で、理事会に送るプロセスを取ります。来季には間に合わないと思います。慌ててやることではないけれども、あまりゆっくりしていることでもない。ステークホルダーもたくさんいらっしゃいますから。もう一つは、W杯イヤーだと始めにくいということもあります。2015年の1月にアジア杯豪州大会があるので、天皇杯が前倒しになります。来年だけ12月の日程がイレギュラーになりますから」
――では15年からですか?
「まだ決定していませんが、もし理事会で決定すれば。なぜそう決まったのかということをしっかりとみなさんにお伝えしたい」
その他のアイディア
Jリーグ発信の番組を作るために
――試合のクオリティーを上げていくことも必要です。
「試合の中で、選手に意識してほしいこともあります。海外サッカーがテレビマネーで潤うことで良かったことの一つに、『テレビで放送されるため、面白くないと生き残れない』ことがあります。だから昔ほど“時間稼ぎ”がなくなりました。ゴールキックに時間をかけるとか、わざと遅延でイエローカードぎりぎりのところで何とかすることはない。ドイツのスーパーカップでは給水タイムを取っていましたね。あれは、給水タイムを取らないと水が飲めないからとも言えます。そういう、ピッチ上の細かい部分で改善できることはたくさんある。東アジア杯で彼らが1週間でザッケローニ監督の戦術を飲み込めたように、Jリーグの選手たちにはフットボールインテリジェンスがあるんです。それはこの5年で大きく変わったところです」
――露出を考えると、民放でリーグ発信のバラエティー番組を作るというのも一案かもしれません。
「それはあるかもしれませんね。イングランドでサッカーを見る目を養おうとすると、BBCの『マッチ・オブ・ザ・デイ』という番組がその役割を果たしていました。その日の試合を20分くらいに編集をして、ゲームの面白さを解説する番組です。イギリス人は、あれでサッカーの考え方を小さいときから自然に覚えていく。いま、Jリーグでもそういう番組を作れるよう進めたいと思っています。深夜にフルマッチの放送をするよりは、もうちょっと浅い時間に番組が見られれば、試合に行った人も行っていない人も見られます。そのために映像を売ったり、貸し出したりする仕組みについて変えていく必要があります。ほか、メディアの枠組みを買うというやり方もありますが、日本の民放の枠はものすごく高い。高いし、数字を取れないと終わってしまいます。いまのJリーグがそれを直接やることは難しい。ですから、ローカルで『マッチ・オブ・ザ・デイ』のような番組をやるとことは、一つのアイディアとして考えています。サッカーのリテラシーを高めるための番組ですね。それをできる仕組みを考え直そうと。従来、放送局がJリーグの3分間のハイライト映像以上を使うためには、高いお金がかかりました。そこを緩和させることを、少しずつ話し合っています」
取材日:2013年8月16日(金) 聞き手:寺嶋 朋也/田中 直希
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(BLOGOLA編集部)
2013/09/11 20:20
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