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[インタビュー]Jリーグはなぜいま改革を進めるのか ~中西大介 Jリーグ競技・事務統括本部長に話を聞く
ナショナルコンテンツとしてのJリーグの必要性
Jリーグを発信できる環境を作る
――そういった認識のもと、戦略会議が進められてきました。
「これだけインターネットで情報を得る時代になりましたが、日本の報道、スポーツニュースにおいてはテレビの威力は変わらず強い。特にライブのスポーツとニュースには力がある。先ほど言ったような衛星放送市場を大きくするためにも、多くの人たちにJリーグ中継を周知することが大切になりますが、現在は難しい。そのためにも、『ナショナルコンテンツとしてのJリーグ』が必要とされているわけです。地域社会で存在感が増しているクラブはあります。それは日本サッカーにとって大変意義のあること。東日本大震災後のスペシャルマッチでJリーグの存在が受け入れられました。その理由は、リーグの理念が素晴らしいと評価されたことに加えて、あれだけ華やかに“テレビに映るJリーグ”をリーチできる環境があったからです。ボクらの考え方が浸透するためには、その両方が必要なんです。まずローカルで必要とされることが大事で、その理念が日本中に浸透して意義あるモノとなり、それを“発信できる環境”に置くこと。
もう一つは、一般層からの関心がものすごく落ちてきているというデータがある。競技場に足を運ばなくとも、Jリーグに関心を持ってくれている人の数というのは、スポンサーバリューにつながっています。この状態に早く手を打たないと、どこかで一気にリーグの価値が降下する可能性があります。
これは、よくビジネスでいう、『ゆでガエルの法則』です。熱湯にカエルを入れると『熱い!』とすぐに飛び出てくる。では、ゆっくりゆっくりと水からゆでていって、だんだん熱くなっていくとどうなるか。カエルは逃げるタイミングを逸して死んでしまいます。観客数の微減、一般の人の興味が薄れている状況は、ある種の『ゆでカエル状態』にあるとも捉えられるのです」
――危機の一つ、観客数の微減について。これをどう分析されていますか?
「一般の関心がなぜ落ちているかも関係してきています。いまの日本サッカーは、ある種のパラドックスのサイクルに陥っています。国内スポーツへの関心は、野球にしてもサッカーにしても落ちてきていますが、その中でサッカー全体への関心のパイが変わっていないとすると、代表、海外、Jリーグ、なでしこという4つの選択肢がある。スポーツ紙を見ても以前は一面でJリーグ、一面で代表という扱いでしたが、ほかに興味の対象が出てきた結果、一番割を食っているのはJリーグであるとも言えます。全体のパイ自体が増えていないとすると、それぞれのコンテンツで分けることになりますから。海外組が増えた代表が一流。そして、海外のビッグクラブであるマンチェスター・ユナイテッドは一流。メディアは1番と2番は扱いますが、3番目となれば扱う量は少なくなる。例えば、月曜朝の情報番組で、勝ち負けや得点の有無に関わらず、香川真司や長友佑都の情報が流れます。前の日にJリーグをやっていたのにもかかわらず、ですよ」
Jリーグが直面するパラドックス
「お客さんの数が減るということは、離脱者が新規のお客さんを上回っているということ。ではなぜ離脱していく人がいるのか、新規のお客さんがなぜ入ってこないのか。どちらもリーグとして考えていますが、離脱していった層の理由は、リーグとクラブが考えるべきこと。われわれリーグに責任があるのは、『新規のお客さんが来にくくなっている』ということです。観客数が落ちていることを考えるときは、離脱の話と、新規が入って来ないという二つを考えなくてはいけません。Jリーグの責任である後者の理由としては、グローバリズムで世界に選手が出て行ってしまっているということが一つと、一般層の興味が海外サッカーにいってしまっているということ。でも、それはあくまで仮説です。仮説を証明するある程度の情報は持っていますが、なかなか数字をそろえるのは難しい。一つ考えられるのは、日本の文化の中でJリーグが適応していない可能性があるということ。衛星放送市場はまだまだこれからという段階で、地域密着をうたっています。Jリーグはローカルコンテンツとして素晴らしい。新潟に行けば、新潟日報に大きくアルビレックス新潟のことが書いてある。岡山も甲府も、です。一方で、関東広域圏、関西はどうか。厳しい状況です。そういう47都道府県のメディア事情に対して、『ナショナルコンテンツとしてのJリーグ』が力を発揮できるようにしたいのです。
浦和対広島がどんな好カードでも、広島の人は広島を見るという構造でJリーグはファン層を拡大してきました。地域密着で地元のチームを応援しようという形でやってきました。この素晴らしさは当然ある。一方で、ナショナルコンテンツのJリーグが育ちにくくなっている現状があります。ある種、目的は達しているのですが、そうしたパラドックスに直面しているわけです。そこで、Jリーグのクオリティーを証明するような試合を、華やかな場面で見てもらうとことに一定の効果があると考えているのです。
東アジア杯では、Jリーグの選手で構成したチームがある程度の視聴率を取りました(関東地域:中国戦18.9%、豪州戦:14.7%、韓国戦17.8%)。海外組が入ったウルグアイ戦(17.1%)と同じくらいの数字をJリーグ勢で取っています。しかも、1週間であれだけのチームを作り上げるくらい選手も適応力がありました。プロ選手としての能力が本当に高くなったと感じます。そういう選手をリーグは備えているのです。舞台さえ整えれば、みんなが感動するゲームをJリーグは十分に作れるのではないか。僕たちは何度も言っていますが、全34節で公平に順位を決める仕組みが良いという基本的な考えは変わりません。ただ、世界で通用するリーグに早くなるためには、いまの延長線上ではなく、ある種違うやり方を取り入れて、世界を先取りしながら最終的にその先に持っていこうと。そのための打ち手を議論しているのです。その一つがポストシーズン制です」
――では、ポストシーズン制の即効性は何だと捉えていらっしゃいますか?
「一つは日本のメディアが付いてきやすいということ。チャンピオンを決める試合を日本中の人が見て、『Jリーグって悪くないよね』と思ってもらえます。見てもらえる試合をリーグ戦の中で作るに越したことはないのですが、現状では難しい。いまはたくさんの人に見てもらう機会をどうやって作るのかを考えないといけない。それが戦略会議で出てきた話です」
――東アジア杯は一つの道筋を立てたと感じます。日本代表をJリーグにフィードバックするような形として。
「東アジア杯は、『昔はこういう良い循環だったよね』ということを思い出した大会でもありました。名波(名波浩)やゴンちゃん(中山雅史)が代表で活躍して、Jリーグに帰って来る。だから、ジュビロの試合が満員になった。代表と週末のJリーグとの良い循環があった幸せな時代を、ちょっと思い出しました。でも、恒常的にはありえません。Jリーグの選手がフルに代表選手になっているわけではありませんし、もうあのサイクルは難しいでしょう。では、これに変わるものは何かという発想になります。
『リーグ戦の公平なやり方を壊してまでやっていいのか』という議論は当然です。何が理想的かどうかは、私もサッカーを40年間やってきていますから、分かっています。Jリーグに入って16年が経ちますが、ボクは毎年、南米やヨーロッパに行かせてもらいましたし、ヨーロッパのサッカー体系は分かっているつもりです。グローバリズムに飲み込まれていなければ、いまでも長友や香川はJリーグでプレーしていたかもしれません。彼らが海外に行ったことで、海外サッカーがより華やかなものになりました。逆に言えば、日本では『ヨーロッパサッカーはすごい』というバイアスがかかり過ぎているとも感じます」
――それは感じます。サッカースクールに通う子供に聞いても、Jリーグを飛び越えて海外サッカーを見ています。そういう状況がいまのJリーグの苦しい状況を生んでいます。
「では、その状況をどう克服するか。ブンデスリーガは、ドイツの協会と話し合いながら、子供たちがブンデスリーガの試合を見に行けるように、子供たちの試合時間をコントロールしました。私たちも子供たちがJリーグに行ける環境を作りたい。やはり、『テレビのメッシよりも生のJリーグ』です。生観戦には独特の素晴らしさがある。音、空気、匂い、そういうモノに子供のときから生で接することが大事だと思います。都道府県協会とクラブが連携し、子供たちが少しでもJリーグに足を運びやすい環境を作ることをしていってほしいと考えています。それは、地域協会やクラブがやってほしい努力の一つです。では、そうではないほう。メディアとの接点を増やしてもう少し“カジュアルな層”にJリーグを知ってもらうというのが、Jリーグの役割なんです」
――戦略会議では、各クラブとともに観客数を増やすための施策についても話されていると思います。
「観客増のためには、ライト層を取り込むきっかけを作ることです。いま2万席あるスタジアムに1万5千人が入っているとします。そこから5千人を増やすのはクラブの努力です。でも、7万人のキャパシティーに2万人入っているスタジアムを将来的に7万人にするのは、クラブの努力だけでは無理だ、と考えています。Jリーグとしてメディアに取り上げてもらう努力を進めていかないと、7万人には増えないと考えています。『Jリーグは素晴らしいから見に来てよ』、という接点のためにはどうすればいいのかが、考え方の原点です」
――Jリーグが今回改革を押し進める中で、『ほかにもやることがあるだろう』とサポーターに思われている気がします。クラブ側がやるべきこと、そしてリーグ側がやるべきことの線引きが伝わっていません。
「140個挙がった案には、リーグ側がやるべきことも含まれます。しかし、その中でもクラブ側の課題はかなり多い。それを整理しようと思っています」
では、どの層を取り込むのか
――先ほど代表とJリーグのサイクルで昔を思い出したとおっしゃいましたが、ウルグアイ戦の後、C大阪の練習場は500人のファンであふれました。ということは、あのサイクルはまだ終わっていないんじゃないかとも感じます。確かに、海外組の選手が主力を占めていて、Jリーグの選手が入るスキがなかったのがこの数年でした。Jリーグの観客を増やす好機としても考えられるのではないでしょうか。Jリーグを一定数見た人は、日本代表のチケットを買いやすくするだとか、そういう方法も挙げられます。
「今回、東アジア杯があったことでキンチョウスタジアムは満員になりました。良い循環がまた戻って来るというよりも、私は“東アジア杯の使い方”に気付きました。Jリーグのプレーの水準は上がっているので、選手の海外流出は避けられないでしょう。好機が訪れるならばそれはありがたいことですが、海外組主流の流れはしばらく続くと考えたほうが、正しいのではないでしょうか」
――代表の盛り上がりをJに還元する施策もあるのでは?
「私自身はウルグアイ戦の宮城スタジアムの観客を見て、あらためてJリーグファンとの層の違いを感じました」
――その層もサッカーに興味があるわけで、取り入れやすいのでは?
「それは検証が必要ですね」
――海外サッカーのファンを取り込むよりも、日本代表のファンをJリーグに呼び込むほうが近い気がするのですが。
「私たちの調査だと、ファンは『まったく違うもの』として考えているみたいです。宮城スタジアムで、ウルグアイにあの試合をしたら、サッカーを知っている人からすればパフォーマンスに対して思うところがある。でも、黄色い声が試合後も飛ぶんです。『ああ、Jリーグを見に来ている層とは違うな』と肌で感じました。では、その人たちを取り込むにはどうするか。いわゆるカジュアル層をJに取り込むべきなのか」
――では、どの層をJリーグに取り込みたい、という想定はあるのでしょうか?
「どの層を優先するかは、関東広域圏のクラブと、他のクラブでは違います。その打ち手の順番を考えるのがクラブ。そして、可能性を広げるのがJリーグとしての役割分担です。代表を見に来てくれる人はありがたい。だけど、本当にあの人たちがJを見に来るのか」
――C大阪の練習場に500人が行ったように、まず足を運んでもらうようにすることも必要なのかなと思います。プレーヤーは、Jリーグで育ち代表に入って、海外に行くというように、Jリーグと代表がつながっているわけですから。
「Jリーグの場合、まずは自分が住んでいる地域を応援してくれればいいというアプローチから始まり、その後サッカーを好きになってくればいいという形で成功したクラブもあります。では、代表を見に行く人たちは、何がきっかけだと思いますか?」
――選手でしょうね。アイドルを応援するように。
「それは、香川選手や本田選手が、あれだけメディアへ露出しているから、とも言えますよ」
――プロ選手のレベルは相当高い、それを実体験として感じる場を増やしていくことも大事だと考えます。
「地道な活動は絶対に必要です。ただ、関東広域圏を考えてください。キー局があって、日本の上場企業のほとんどが東京に存在しています。例えばドイツだと土日はほとんどレジャーをやっていない。サッカーしかない。同じ先進国でも、環境が違います。原博実(日本サッカー協会技術委員長)さんもよく言っていますよね。『東京はこれだけ多くのレジャーがある。味スタでよほど面白いサッカーをしないとエンターテインメントとして認められない』と、あのスタイルで(かつてFC東京の監督として)サッカーをやっていました。難しい地域ですが、いま話していたことをどう克服していくか。それを戦略会議で話しているのです。大都市圏、関東圏、札幌、福岡。エンターテインメントがたくさんある地域で地元愛を前面に推すだけではどうにもいかないところもあります。福岡にしても、札幌にしてもそうで、彼らが苦しむのは分かります。例えば、福岡の代表戦の視聴率は、いつも一ケタなんです。その日にホークスの試合があったかというと、ない。極端に地域の関心が低いんです」
メッセージはJリーグに伝わっている
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(BLOGOLA編集部)
2013/09/11 20:20
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