13日、MF丸谷拓也選手の広島からの期限付き移籍加入が発表されました。丸谷選手と言えば鳥取県出身、2009年のルーキーで、今季鳥取に完全移籍した“山陰の超特急”こと住田貴彦選手の1学年先輩にあたります。そう、小2のときフランスW杯を見て「ジダンより俺の方がうまいんじゃね?」とサッカーの道に足を踏み入れた、あの住田選手が、「尊敬する人は?」と聞かれて「丸谷くん」と答えていた、そんなうわさのプレーヤーです。
ふたりの出会いは住田選手が中2のとき、鳥取セリオFCという地元のクラブで。フィジカルが強くポストプレーが得意なFWだった丸谷選手と2トップを組んだのですが、「この出会いが大きかった」と住田選手は言います。「彼は県内のスーパースターだったしパワーもずばぬけていた。私生活の面でも尊敬してました」。聞けば、ユースに進まず境高校に進学したのも丸谷選手のあとを追ってなのだそう。
これだけの前評判をたたき込まれていては、イヤでも期待しないわけにはいきません。住田選手に先駆けて広島でプロデビューした丸谷選手は、トップ下やボランチとしてもプレー。ペトロビッチ監督(現・浦和監督)の手によりさまざまなポジションを経験しましたが、「なかでもボランチがいちばんしっくり来た」と言います。理想のボランチ像は「ボールが奪えてパスが出せ、得点もできる選手」。目標や手本とする選手は特にいないけれど、強いて言えばシャビやイニエスタ。ちなみに好きな選手はバッジォだと話してくれました。「自分に必要なことをやったらいつも最後まで残ってしまう」というほどの居残り練習好き。さすが住田選手に尊敬されるだけのことはあるかも。
いま大分が目指しているサッカーは、ペトロビッチ広島のスタイルと似ています。そこでは運動量と強さが求められる。そういう意味でも、丸谷選手の広島での経験が生きることでしょう。
そんな期待感満点な新戦力の登場にあたり奮起を促したいのが、本職ボランチの井上裕大選手です。昨秋の骨折からつらい手術と地道なリハビリを乗り越え、ようやく全体練習に合流してコンディションを上げているところ。中盤のダイナモとして丸谷選手ともポジションを争うことになりそうで、練習試合でも早速コンビを組みました。実はこのふたり、くしくも生年月日が全く同じ。U-18代表でも一緒にプレーしており、「裕大のおかげでチームに溶け込みやすい」と丸谷選手は言います。よきチームメイトは、すなわち、よきライバル。丸谷選手と井上選手の切磋琢磨(せっさたくま)が、中盤の底上げにつながるよう期待します。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/08/16 19:37