横浜FMの飯倉大樹が、先日見られた“今季ならではの失点”についての真相を明かした。
ついにやられた、と思う失点だった。11日の明治安田J1第7節・広島戦、1−2の1点ビハインドで迎えた90分、カウンターから広島のパトリックが放ったシュートは、ペナルティーエリアの外に出ていたGK飯倉大樹の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。
相手を押し込むためにディフェンスラインを極端に高くしているがゆえに、これまでも幾度となく飯倉の頭上を越えるロングシュートを狙われてきたが、いずれも枠から外れていた。第7節にして初めて枠に飛んできたロングシュートだった。
ただ、飯倉は「あれはパト(パトリック)がうまかったし、ちょっとした駆け引きがあった」。具体的にはどういうことなのか。「パトは足が速いし、もう少し前に持ち出してくるかと思った。その分、戻らなかった」。
映像を再確認してみると、確かにパトリックがミロシュ・デゲネクとの競り合いを制して前に出てきたにもかかわらず、飯倉は一瞬、動きを止めているように見える。「普通に戻っていれば追いつけていたけど、パトがもうワンタッチ長くなった時に(ボールを)狩れるようにスピードダウンした」からだった。
駆け引きに勝てなかった。ただ、理由があることに加え、「普通に戻れば間に合う感じだった」だけに、あの失点については「そんなに気にしてない」と言う。
それよりも飯倉が「怖い」と思ったシーンがあった。それはPKで1失点した直後の52分、渡大生に打たれたロングシュートだった。相手のクリアボールに対し、横浜FMは最終ラインも敵陣で対応。飯倉もその裏のスペースをケアするためにペナルティーエリアの外に出ていたが、デゲネクのヘディングでクリアしたボールを渡は自陣からワンタッチで狙った。シュートは枠から外れて古事なきを得たが、「あのタイミングでストーンと打たれるとノーチャンス」だった。
サイドの裏へのボールは「帰る時間がある」と常々話してきた飯倉だが、渡のシュートのように中央からの攻撃は「もうひとつ早く帰ってくるべき」と考えている。
ただ、それも決してネガティブなことではなく、広島戦で得た「教訓」だ。今季から新たな戦術に取り組む中、最も昨季までと異なるプレーを求められている飯倉。それは決して簡単なことではないが、日頃から「疲れるけど楽しい」と口にしているように、ポジティブに取り組みながら改善を図ろうとしている。
写真:菊地正典
(横浜FM担当 菊地正典)
2018/04/13 23:05