一瞬、目を疑った。東京Vはマイタオルを手に帰途に就く選手が多い。その中に、かなり前によく見た柄をしたタオルを持つ選手がいた。
ユースから昇格して今季1年目、18歳の渡辺皓太である。インサイドハーフとして先発に定着している現在、前々節までの4連勝に大きく貢献する、猛烈プレスと圧巻の運動量で中盤を支えている背番号33。前節・千葉戦は2-2での引き分けだったが、本紙のMOMに選ばれる活躍を見せた。
そんな彼の手には、緑と赤、そしてJリーグのロゴマークの入った、Jリーグ開幕当初によく見たデザインのタオルがあった。
聞くと「家にあったので、1年ほど前から使っている」とのこと。本人は自身が生まれるよりずっと前、93年ごろのモデルであることを知らず、周りの選手に一斉に「おいおい、いつのだよ!」と突っ込まれて知ったそうだ。「ここ1年、ずっと使ってます」と笑った渡辺には、マジックで「渡辺皓太」とタオルの端に書かれた名前も見せてもらった。
新車購入時にはチームで誰も乗っていないものを選択して買ったように、周りに流されないタイプの渡辺。これからも、己の道を信じて進む。
文・写真:田中直希(エルゴラッソ東京V担当)
(東京V担当 田中直希)
2017/09/06 13:55