2011年3月11日の東日本大震災後、いまに至るまで復興のシンボルとして戦い続けるベガルタ仙台。2月23日に発売したEG BOOKS『在る光 ~3.11からのベガルタ仙台~』はチームを密着取材してきたエルゴラッソの番記者が、その語り継ぐべき物語を綴ったものだ。
震災から6年、今週末に3.11を迎える。今回の連載では、書籍の著者である板垣晴朗に、6年前からいまに受け継がれるベガルタ仙台の使命についてあらためて記してもらった。
2017年の3月11日に、ユアテックスタジアム仙台でJ1第3節・仙台vs神戸が開催される。東日本大震災発生から6年が経とうとする中、仙台の選手たちはこの試合に向けて、強い思いを口にしている。
「我慢比べでも勝たないといけないんです。このクラブで、ホームで戦う以上。やるべきことをやる、それだけです」(菅井直樹・山形県出身・03年加入)
「ホームで必ず勝たなければいけないという思いがいつも以上に強い。内容以上に、勝つ姿勢、戦う姿勢を、見せられる試合にしたい」(藤村慶太・岩手県出身・12年加入)
「こうして当たり前のように生きて、たくさんの人たちの前でサッカーができる幸せをしっかり噛みしめながらプレーしたい」(金久保順・茨城県出身・15年加入)
それぞれ、生まれも育ちも、仙台に加入した年も違う。6年間で、多くの選手やスタッフが入れ替わった。しかし、このクラブでプレーする使命を持ち続けていることは同じだ。
人が入れ替わっても、被災地のホームタウンにとって“希望の光”で在り続けるために、現在チームを率いる渡邉晋監督は、15年以降チーム始動日に全員で被災地を訪れる活動を続けている。
今季の始動日である1月12日には、宮城県名取市閖上地区をチームで訪れた(写真)。慰霊碑へ献花をして、まだ人の戻れない地域の現状を知り、被災された方々の証言を聞き、チームはこの地で活動する意味をあらためて認識した。
「これからの心の復興という意味では、やはり我々がやらなければいけないことがたくさんあるとあらためて感じたので、モノの復興だけでなく、心のなかにわれわれが訴えかけられるようなゲームをしていなければいけないと強く感じました」
渡邉監督が言葉にしたような思いとともに、ひたむきなプレーで勝利を目指し、ベガルタ仙台は今季もJリーグを戦っている。
あの日から、6年。人が入れ替わっても、その日付が何度巡っても、このクラブが果たすべき大きな使命は変わらない。これからも。
あれから6年――時が経ち、選手が入れ替わっても、
このクラブが背負う使命は変わらない。
『在る光』
3.11からのベガルタ仙台
著者:板垣晴朗
定価:本体1,600円+税 判型:四六判 頁数:272頁
2月23日発売
ISBN 978-4-908324-19-2
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(仙台担当 板垣晴朗)
2017/03/11 12:54