「元々、低かっただけで、(レベルが)高くなったわけじゃないですよ」。本人はそう笑うが、岸田翔平は今季の長崎で着実に成長を感じさせた選手だ。
そう思えるのは、昨季はリーグ戦24試合出場無得点に対して、今季は41節終了時点で33試合出場4得点と数字が向上したということだけが理由ではない。プレーに迷いを見せることもあった昨季に比べると、今季は、マッチアップの相手が実績で上回っていても、「相手がすごいほうが楽しみなんですよね、勝てたら目立てるじゃないですか(笑)」と試合のモチベーションに変えるなど、随所でハートの強さを感じさせたことも大きな理由だろう。
そんな岸田にあえて成長した理由をたずねると、少し考えてから「多く試合に出場できたことじゃないですかね。やっぱり試合出場を重ねたぶん、メンタルや試合にかける気持ちは前より強くはなったんじゃないかと思います」と答えてくれた。
それでも、まだまだ自分のプレーに納得はしていないのだという。「前より仕掛けのプレーもできるようになったけど、質はまだまだ……もっと上げていきたいですね」。これまで双子の兄である岸田和人(山口)に比べて、真面目で大人しいと言われることもあった岸田翔平だが、今季は彼にとって、自分の殻を破ったシーズンとなったのかもしれない。
写真:藤原裕久
(富山担当 赤壁逸朗)
2016/11/18 20:27