日本代表FW齋藤学(横浜FM)が、自然体で代表でのポジション争いに臨む姿勢を見せた。
6日の初日の練習から代表に合流している齋藤。「J1リーグが終わって、マリノスはチャンピオンシップはないけど、このタイミングでの代表入りは意識していた。今季1年間、同じ感じでプレーできてきたことをここでも出したい」と落ち着いた表情で話した。
今季は攻撃的なプレーで横浜FMをけん引。リーグ戦での得点は二ケタの10点を挙げ、元来武器にしてきたドリブルのキレも増し、相手DFを切り裂いていった。
先月の代表招集は、負傷した武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)、宇佐美貴史(アウクスブルク/ドイツ)の辞退による追加招集だった。「今回は正式な招集? そこの気持ちは特に変わりはない」と話した齋藤だったが、一方で本音もちらつかせた。
「チームになれば海外組もJリーグ組も、若手も関係ない。みんなでコミュニケーションを取らないといけない。でも、(ヴァイッド・ハリルホジッチ監督からは)Jリーグ(の選手)が評価されにくいので、そこはJリーガーとしてもできることを見せたい」
齋藤が本職のサイドアタッカーには、原口元気(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)がいる。W杯最終予選に入って現在3試合連続ゴール中と好調を誇るライバルについて、齋藤は口を開いた。
「みんな、『(原口)元気に負けないように頑張ります』と言わせたいんでしょうけど(笑)。でも、元気も僕も決して同じタイプの選手ではないので、一緒に出場してもやれる。それに普段から結構ドイツでの話を聞いて、よくコミュニケーションを取っている。とにかく、まずはチーム全体で15日のサウジアラビア戦に勝つために行動したい。(小林)祐希みたいな発言は言わない(笑)。ああいう強気な選手もいて、僕みたいなスタンスがいてもいい」
自信ある言動と、自然体の姿勢。良い意味で余裕を感じさせる。2年前、ブラジルW杯では大会3試合をとおして出場機会はなかった。あのときから、いまの自分にはある変化があるという。
「以前より、代表で途中から試合に出るかもしれないということに怖さや不安がなくなった。先月のイラク戦もオーストラリア戦も、ベンチで試合を観ながら自分のプレーをどうしようとか意識することができた。試合に出られずに悔しい終わり方になって、メンタルの回復にも時間はかかったけど、マリノスでまた上向きになれた。いまはまだ代表で信頼を得られていないから、チャンスにもつながらない。だから(大事な場面で)使っても大丈夫というプレーを、練習から出さないといけない。ここからが勝負だと思う」
この日の練習では、指揮官から仕切りに飛んだ「デュエル!」の声にも、平然と激しいプレーで応えてみせた。「ウチ(横浜FM)のフランス人監督(エリク・モンバエルツ)もよく言う言葉なので聞き慣れています(笑)。とにかく僕のプレーが監督を起用法で悩ませるきっかけになれればいいと思う。うまいこと締めましたね(笑)」
記者の質問に笑顔を織り交ぜながらも、要所で思いの強さを示した齋藤。今季のJリーグを代表するアタッカーが、ハリルジャパンのポジション争いに割って入る。
文:西川結城(エルゴラッソ日本代表担当)
(BLOGOLA編集部)
2016/11/07 21:20