日本代表は8日、W杯アジア最終予選・豪州戦(11日@ドックランズ・スタジアム)が行われるメルボルンに到着し、この日の夕方に当地で初練習を行った。イラク戦のメンバーから、酒井宏樹は出場停止のため、長友佑都は負傷のため、それぞれチームを離脱。豪州の地を踏んだ23名の選手たちが練習に顔をそろえた。また、6日のイラク戦で右足首を痛めた岡崎慎司は完全別メニューでの調整となり、豪州戦の出場が不透明な状況だ。
そんな中、イラク戦では不発に終わり途中交代となった本田圭佑が練習後に取材に応じた。メルボルンは冬から春に変わる境目を迎えているが、まだまだ冬の寒さが残る気候に本田は「寒いですね。こんなに寒いとは思っていなかったです。ただ僕は寒いほうがどちらかというと好き。こういう中でサッカーをするほうが、わりと動けるので、僕個人としてはやりやすいですね」とスッキリとした表情で語った。
日本は現在3試合を消化して、2勝1敗の勝ち点6で4位につけている。豪州は言わずと知れた日本のライバルで、グループ最大の強豪でもある。最終予選の早い段階で迎える敵地戦に対しての考えを、こう述べた。
「このタイミングでも、あとのタイミングでも、どっちにしろ同じような雰囲気になっていたと思う。最終予選でそれほど勝ち点差が開くということはない。難しい試合を後回しにするよりは、早いほうが良いというのが個人的な感想です」
イラク戦直後には、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が要求する縦に速い攻撃だけでなく、リードした場面などでは試合をうまくコントロールするようなパス回しなど、試合展開に緩急をつける必要性を強く説いた本田。あらためて、豪州戦に向けてもそのポイントに触れた。
「自分がやりたいことが、いまは(チーム内の)比重としては足りていない。監督が求めることの比率が高過ぎるというか。そのバランスをうまく取りたい。要は、縦へのスピードと、もう少し相手を引き出す駆け引きのある組み立てとの比重が、どちらかというと縦への割合が多過ぎる。僕がやりたいことと監督が要求していることの比率に満足がいっていない。でも自分自身のところで変えられるところもある。微調整なんでね、そこは」
アジア相手にボールをポゼッションする戦い方は、過去を見ても日本の武器となってきた。逆にハリルホジッチ監督が強調する速さや強さは、弱点となってきた。現在、そこを補強しながらチームは前に進むが、それによって本来の日本の特徴を完全になくすことは極端とも言える。本田が日本人として自負する強みと、監督が求めるスタイルの着地点を見出すことができたとき。それはハリルジャパンが、チームとして一回り成長したことを意味するだろう。豪州戦。相手に不足はない中で、その片鱗を見せられるかに注目が集まる。
文:西川結城(エル・ゴラッソ日本代表担当)
(BLOGOLA編集部)
2016/10/08 20:05