今回の決断について、1日の練習後、扇原は「かなり悩んだし、移籍すると決めてからの方が想像できないというか…。今はまだ離れる実感はないけど、決めたからには向こうで頑張ります。去年も昇格できなかった中、シーズン途中で移籍していいのか悩んだけど、自分自身、チャレンジしたい気持ちが強かった。自分にとっては今までで一番大きな決断でした。チームの人たちやサポーターに対して申し訳ない気持ちはありますけど、セレッソで育ててもらった感謝の気持ちは忘れず新天地で頑張ります」と率直な胸の内を明かした。
12年以降、ロンドン五輪日本代表、日本代表と着実に成長を続けてきた扇原だが、ここ数年は伸び悩む様子も見られた。
「今まで中学からセレッソで育ててもらって、本当に素晴らしい環境の中、みんな僕に優しく接してくれました。移籍したら、イチからのスタート。そういう厳しい環境に身を置いてやってみたい、という気持ちも移籍を決めた理由です」
環境を変えることで、心機一転、自分自身と向き合うことを選択した。
“完全移籍”についても同様だ。「僕自身、セレッソに戻れるという保険をかけて行きたくなかった。海外移籍でもないし、セレッソで試合に出られない中で声をかけてもらったチャンス。また帰れる場所があると思って移籍を決めたくなかった。覚悟を持って決めたかった」と心境を話した。
名古屋の小倉隆史監督兼GMとも話をしたという。「名古屋も苦しいチーム状況ということは聞いていますけど、その中でどれだけ自分の力を出して、チームの勝利に貢献できるか。それが自分の評価にもつながる。自分次第で今の状況を変えられると思うし、(小倉監督からの話を聞いて)やりがいも感じました」と新天地での新たな競争に打ち勝つ意欲を示した。
“左利きで高精度のキックが武器”というJリーグ界全体を見渡しても稀有な特長を持つ選手なだけに、移籍を残念に思うC大阪のサポーターも多いだろう。「今後、少しでも成長して活躍している姿を見せることで、喜んでくれる人が一人でもいれば嬉しいです」と、サポーターに対する気持ちを話した。
また、明日の15時から、セレッソ大阪メガストアにて、サポーターに対する最後の挨拶も行われる予定となっている。(詳しくはC大阪ホームページにて)
(C大阪担当 小田尚史)
2016/07/01 19:49