4日の練習後、田中英雄は強い憤りを言葉にした。「昨日(明治安田J1・2nd第13節鹿島戦)の試合で、相手の戦術、技術、戦う気持ち、色んなものを目の当たりにした。試合後には監督から(選手たちに)『覚悟を持て』という話もあった。そんな状況で迎えた練習ってバチバチになるはずでしょう」。田中は覇気を欠き、ルーティン化した練習を嘆いた。
昨日(3日)、神戸はナビスコカップ準決勝の相手、鹿島に完敗。選手たちの戦うスピリットは後塵を拝し続けた。田中が憂えたのは”気持ち”の部分だ。「その相手にナビスコでは戦わないといけない。覚悟を持てば、それぞれの責任が見える。今はそれを手放している状態。みんなでファイティングポーズをとって戦わなければいけない」。
神戸には、苦しさをぶつけ合い、主張し合い、涙を乗り越えて掴んだ2010年の”奇跡の残留”という記憶がある。語り継ぎ、受け継ぐべき、神戸というクラブの大切なメンタリティーだ。田中はいまのチームに欠けているものから目を逸らさなかった。
この日、全体練習に復帰した渡邉千真、小川慶治朗、前田凌佑は一様に「流れを変えたい」と”チームのため”を強調した。3カ月近くに及ぶ離脱から戻った小川は言った。「ベンチ外の人も、怪我でもどかしい人もいる。でも、みんな気持ちは一つだって感じた。みんながナビスコカップを勝ち上がってくれた。今度は僕が結果を出して、優勝まで行きたいと思う」。7日の第1戦へ向け、神戸は一枚岩になるための練習を積む。
(神戸担当 小野慶太)
2015/10/04 21:18