逆転勝利を収めた前節・浦和戦(2○1)。西野朗監督は77分、最後のカードとしてグスタボを送り出す。
退場者を出していた相手に対し、数的優位に立っていた名古屋だが、展開は劣勢。荒削りながら、強靱なスピードとフィジカルを生かし、ひたむきにボールを追いかける19歳に「守るのではなく、カウンターを狙って追加点というメッセージ」を込めた。
ところが、86分の接触プレー以降、彼はどこか元気のないプレーを続けてしまう。「打撲だから大丈夫」。グスタボからそう聞いていた指揮官は「(ピッチ)横で『走れ、走れ』ってゲキを飛ばして」いたそう――だが、むしろ逆だった。
「俺のほうが本当に申し訳ない」。試合翌日の27日、そう言って指揮官が明かしたのは、彼は前十字じん帯断裂の重傷を負いながら、最後までプレーを続けていたということだった。
あのとき、本人がどう思っていたのかは分からない。指揮官も、26日の検査結果が出るまでそのことを知らない。ただ一つ言えるのは、勝利への脅威的な精神力と気概で、彼はピッチに立っていたということ。「アイツが(ピッチ外に)出なかったおかげで、“走ってくれた”おかげで、(名古屋は)最後まで数的優位を保てていた」のだから。
27日の練習前、指揮官は「(今節・山形戦は)アイツの(残り)10分の走りを生かそう」と選手たちに訴えている。「60分で(足を)つってるようじゃダメだぞ」と。
これから始まる今節・山形戦。浦和戦で得た勝ち点3の価値を高めるため、そしてグスタボの気概を「ムダにしないためにも、絶対に負けられない」(矢田旭)。
(名古屋担当 村本裕太)
2015/07/29 18:00