J1通算400試合の大記録を目前にしている新井場選手ですが、同時に“この人”もJ1通算300試合まで、あと1試合。青木選手も、今節・仙台戦に出場すれば、偉業達成となります。
「いろんな人に支えられてのこと。自分1人では絶対に、ここまで来られなかった。(達成すれば)心からそう思う。今年30歳になった時も同じようなことを言いましたが、300試合もアントラーズで出られるとは、正直、思っていませんでした」
当然、100試合、200試合とメモリアルゲームを経験していますが、300試合にもなると、やはり、「自分の中で感じるものは大きい」とのこと。その理由は、謙虚な青木選手らしいと言うか、何とも自虐的。それは、突然ニヤニヤと笑い出したほど。
「クラブハウスのエントランスに(出場記録を達成した)選手の名前が張り出されているんですけど、以前、あれを見た時に、『自分の名前が300のところに張り出されたらいいな』というのは、頭のどこかにはあった。そこにある名前は偉大な人たちばかりなので、一番地味で派手さのないタイプの自分が載るのは、なかなかないと思いますから(笑)」
その口調は、まるで『このような場所に、派手さのない自分の名前が載っても大丈夫なのでしょうか?』と、言っているような感じでした(笑)そんな青木選手が笑うプレートはこれですね。ここに「青木剛」の名が刻まれるわけです。
秋田豊、本田泰人、名良橋晃、大岩剛、小笠原満男、新井場徹、曽ヶ端準……。(ちなみに、本山選手も300試合を達成しています) 確かに、華のある名前ばかりではありますが…(笑)
といった具合に会話を交わしていると、最後に、その偉大な先輩・小笠原選手(300試合出場済)が登場。無表情のままゆっくりと近づき、わずかにニヤッと“悪い顔”を見せた偉大な先輩は、青木選手の乗る車のワイパーを立てて……、するとそのまま横に止めていたマイカーに乗り込み、無言のままブーンっと、走り去っていきました。
それに対し、青木選手は無表情、無言で会釈。小笠原選手が去った後、車から降りもせず、窓から手を伸ばして立てられたワイパーを静かに直していました。特にツッコミを入れるわけでもなく、何事もなかったかのように。「でも個人のことは試合に持ち込みたくないので、まずはチームのために戦う。勝って、達成できていたらいいですね」。そう言って、クラブハウスをあとにしたのでした。
これほどシュールな光景も珍しいのでは。300試合を達成すれば、小笠原選手のようなことも、できるようになるはず(?)
(鹿島担当 村本裕太)
2012/11/16 15:22