今節の甲府戦は「大分総力戦」。昨年に続き2回目の観客3万人動員プロジェクトです。J2降格してからは観客も数千人までに減っていましたが、昨季第20節FC東京戦の入場者数は2万7519人。青く染まったスタンドが醸し出す迫力は、J1時代をほうふつさせて素晴らしいものでした。昨季は、指揮官1年目の田坂監督率いる平均年齢22.3歳の若いチーム。選手の顔ぶれは少し変わりましたが、それぞれに成長した表情を見せてくれます。
昨季は防戦一方となり、ぎりぎりのところで体を張り続けて無失点に抑え、試合後に「はね返すのが楽しかった! 相手は有名な選手ばかりだし!」と笑った阪田章裕選手。「今年は守備だけじゃイヤ。得点しないと勝てないし、昇格のためには勝利が必要」と、攻撃面にも磨きをかけます。
あの日最大のチャンス、GKとの1対1でシュートを華麗に外した三平和司選手。吉本新喜劇ばりにスタジアムを一斉にずっこけさせた彼は、今季は現在チーム得点王。今やJ2セットプレー界に君臨する「さんぺーヘッド」ですが、甲府の佐々木翔選手も優れたヘディングを持ち、打点の高さでは三平選手に引けを取りません。実は佐々木選手は三平選手の神奈川大の後輩。この空間認識能力は神大に由来するのでしょうか。
「去年はずっとアップしてました」という松原健選手。世代別代表のインドネシア遠征で観客5万人のアウェイを経験しているツワモノですが、今節の大観衆はホームです。でも甲府戦告知のための慣れないビラ配りには少し苦戦した模様。「ダヴィを抑えるのとビラ配り、どっちが大変?」と聞くと「ビラ配りです。…って答えてほしいんでしょ(笑)」と、実に模範的な回答。サービス精神満点の取材対応に余裕を感じます。
同じく昨季はベンチにいた為田大貴選手。当時はまだ高校生でした。プロ1年目となった今季はすっかり主力に。「戦術的な知恵や経験ではベテラン選手に勝てないけど、運動量や勢いといった若手ならではの良で挑みたい」と、持ち前のアグレッシブさをむき出しにします。甲府戦を終えたら、松原選手とともにU-19代表候補合宿へ。
そして、山梨出身の宮沢正史選手。敵を前身の甲府サッカークラブ時代から知り、小瀬を知り尽くすキャプテンです。プロ入り後は甲府一筋の石原克哉選手とは中学時代からのライバルで、高校時代は「帝京第三の宮沢、韮崎の石原」と県内の評判を分けあった関係。今節出場すればリーグ通算400試合目となる石原選手のことを「素直に素晴らしく思う」とたたえる一方で、「でもチームへの思いの強さでは負けない。大分をJ1に上げます」と静かに闘志を燃やします。これぞ、20年越しのライバル。
何としても勝点3を奪いたい大一番。最大の脅威であるダヴィ選手の攻略法について、森島康仁選手が清水圭介選手に指南していました。「お前のチリチリ頭じゃまだ足りん。ダヴィに負けないようにアイパーをかけてこい」。チリチリヘア対決、もとい、エリア内の攻防に注目です!
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/09/01 00:11