今節対戦する岐阜の前線には、技術もスピードもある攻撃陣が並びます。長身のエース佐藤洸一選手、両足からキックを繰り出す井上平選手、高精度のクロスが武器の染矢一樹選手。そして今日、大分の選手たちが最もその名を口にしたのが、今季清水から期限付き移籍中の19歳FW、樋口寛規選手でした。
2011年高校選手権で8ゴールをあげ得点王に輝き、名門・滝川二高を初優勝へと導いた逸材。現・青山学院大学サッカー部の浜口孝太選手とともに「ダブルブルドーザー」と名づけられた強力2トップの片割れと言えば、記憶にあたらしい方も多いのではないでしょうか。今季は岐阜の13得点中4点が樋口選手のゴールです。
そんな樋口選手に絶対に得点を許してはならないのが、大分の守護神・清水圭介選手。滝川二高の4年先輩としては、後輩にゴールマウスを明け渡すわけにはいきません。そんな流れから、話題は滝二の上下関係へ。前回アウェイでの対戦のときには滝二OBとして特に言葉を交わすこともなかったそうで、「年が離れてて同時期にカブってないですからねー」とニコニコする清水選手。闘志をあおりたい記者としては「駄目ですよ、やはり後輩はごあいさつにうかがわないと!」とけしかけるのですが、清水選手は「そうですよねー」とさわやかな笑顔。滝二サッカー部、なかなか風通しがいいようです。
そういえば2010年のアウェイ北九州戦で、やはり滝二OBの内田昂輔選手(現・FC琉球)が、当時強化指定選手だった1学年後輩の多田高行選手と対戦したことがありました。神戸を遠く離れ、九州のプロチームでの久々の再会。試合後に胸を躍らせてあいさつに出向いた…のは、なんと先輩の内田選手の方。記者たちからも「逆でしょー?」と笑われながら、ふたりが旧交を温めあう様子は、なんともほのぼのとした光景でした。
「あのときウッチーの方からあいさつ行ってましたよ!」と言うと、さすがの清水選手も噴き出しましたが、いやいや、試合では先輩の貫禄を見せつけてもらわなくてはなりません。清水選手は「じゃあモリシ(森島康仁選手)に行ってもらおうかな」と、さらに1年上の先輩を担ぎ出してきました。そりゃ怖そうです。いえ、見た目ではなくてプレーのことです、念のため(笑)。
滝二OB対決のほかに、行徳監督は田坂監督の東海大の先輩で、清水でも指導者として仕事を共にした関係。また滝二で森島選手や清水選手を指導し大分でも4年にわたってコーチや強化担当などを務めた松山博明・現関西国際大監督が行徳監督の後任としてブータン代表監督を務めるなど、なにかと縁の深いカードとなります。
アウェイでの対戦は、苦しい展開のなか、CB阪田章裕選手がプロ6年目での初ゴール、そして追加点まであげて2-0で勝利したゲームでした。セットプレーから見事に頭でたたき込んだ2ゴールに本人も「打点高かったでしょ?」とうれしそうでしたが、ガッツポーズのときのジャンプの方がさらに高く跳んでいたような気が…。『マッチデーJリーグ』で実況アナウンサーから「阪田デー」と命名されたあの試合、ホームでも再現なるか。鳥人・阪田選手と滝二OBたちの躍動に期待します。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/07/19 20:24