鮮烈なプレーを見せた福岡左SBの光永。迫力満点の攻め上がりと力強い突破、左足の鋭いクロスと持ち味を存分に見せており、少々雑な部分のある守備を差し引いてなお相当の選手に見えるが、課題は「メンタルが弱い」(本人)こと。これは自他ともに認めるウィークポイントのようで、今年U-18日本代表候補に招集されたときも実力を発揮できず、現在は選外になっている。
ただ、激戦区に入った今大会、継続して存在感を示したことは自信になったはず。こういう選手が切っ掛けをつかむ場となることも、全国大会の大きな効用だ。昇格の可否を決定付ける大会で、これだけのプレーを見せる選手が本当の意味で「メンタルが弱い」とは思えない。ぜひ今大会で一皮むけて、あこがれの選手だというファビオ・コエントラン(レアル・マドリー)に近付いてもらいたい。
この試合、29番という重い番号を背負いつつ、際立つプレーを見せていたのが、1年生ボランチの野中優之介だった。「もうちょっとボールを奪いたかったし、最後は疲れてしまっていた」と本人にとっては悔いも残る内容だったようだが、各局面で見せたプレーはなかなかのもの。特に秀逸だったのが、遠藤保仁のプレーを参考にしているというCBからのボールの受け方だ。相手が背後にいる状況でも、バックパスのフェイクなど駆け引きしながらクルリと回って前を向いて次の展開につなげるスキルが光った。
大会については「普段は試合のできない関東の強いチームとかとやれて、相当楽しいです」とニッコリ。1年生ながら自分のプレーが強豪相手に十分通用するという手ごたえをつかんだ様子だった。「中学のときからフィジカルでは勝てなかったので、ボールを受ける動作やパス、テクニックを磨いてきた」と語るクレバーなボランチは、決勝トーナメントに向けて「どんなに体の強い敵がいても、ボールを受けて、相手をいなして、前につなげていきたい」と意欲を語ってくれた。
(写真:平野 貴也)
(EL GOLAZO 川端暁彦)
2013/07/28 18:54