サッカー界で活躍するのは、選手や監督たちだけではない。コーチングスタッフや育成年代指導者はもちろんのこと、運営や広報にグッズ担当、昨今ではデジタルマーケティング担当を置いて力を入れる組織も多い。そうした日々、多岐にわたる役割を果たしているビジネススタッフや指導者たちもまた、一つのクラブを支える大きな存在だ。
現在、サッカー業界に多くの人材を輩出する、日本で唯一のサッカー専門総合学校『JAPANサッカーカレッジ』。全国のJクラブにも多彩な卒業生が散らばり活躍する。今回、そんなOB・OGの皆さんに登場していただき、サッカークラブで働く現在と、在学時代に学んだ経験を語っていただいた。
〈インタビュー・文: 田中 直希〉
4万人強が入会する後援会での活動
――まず、いまのお仕事内容について聞かせてください。
高梨 僕は川崎フロンターレ後援会で働いています。いわゆるファンクラブですね。事務所では、主に後援会に入会希望の方や、その更新の受付、会員の管理、各種問合せの対応といった窓口業務を行っています。また、フロンターレのホームゲームでは後援会ブースでの受付、会員限定イベントの運営も担当します。昨年ですと、試合前のウォーミングアップ見学、選手のサイン入り色紙が当たる抽選会も行いました。後援会として地域のイベントにも参加させていただいています。僕はタペストリー担当といって、街中にフロンターレの旗を貼ってもらう活動をしていて、商店街の方などとのやり取りを経て、実際に貼りに行くこともしています。
――川崎フロンターレの後援会には何名が入会されているのでしょう。。
高梨 いまは約4万1千人ですね。その会員の方に対して、後援会のスタッフは僕を合わせて4名います。そこにチケット担当4名も加わり、後援会としての活動を行ってきました。
――やりがいを感じるのはどんなときですか?
高梨 仕事柄、地域の人と触れ合う活動がとても多いです。フロンターレは特に、試合の勝敗などとは関係なく、今までチームとして積み上げてきた地域活動によって、街にチームが浸透している部分があります。それは率直にすごいと感じていて、そうした強固なつながりを僕の仕事によってより強化したい。今までの土台がある上に、担当するタペストリーの活動などによって、もっと川崎市全体でフロンターレを盛り上げるようにしたいと考えていますし、そこにやりがいを感じています。
サッカー界の楽しさ、厳しさを学べる場
――JAPANサッカーカレッジに通われていた時期は?
高梨 18年4月に入学して、20年3月に卒業しました。アパートを借りて、一人暮らしをしていました。
――学生時代に学んだこととは?
高梨 スポーツ界、特にサッカー界の基礎知識は、『サッカービジネス科』で学ぶことができました。サッカー界の楽しさ、厳しさをサッカー界に関わる講師の方から学ぶことができて、実習も多くありました。サッカービジネスの現場経験を積んでいく中で、サッカーに関わる仕事がしたいという思いが強くなりました。
――学校生活で印象に残っていることはなんでしょうか?
高梨 365日、サッカーに関われる環境があることがJAPANサッカーカレッジの魅力です。サッカービジネス科での実習は大きく2つありまして、アルビレックス新潟のホームゲーム運営に実習生として参加できる機会があり、その実習を通してJリーグの運営を間近で見て学ぶことができます。実際にその実習で、社員の方のお客様への接し方について、身をもって学ぶことができました。また、JAPANサッカーカレッジ自体も北信越リーグに参加していて、その試合運営は僕たちサッカービジネス科がイチから担当します。たとえば、取材エリアの線の引き方なども担当するんですよ。先生や先輩のサポートを得ながら、自分たちの手で作り上げたことは大きな経験になりました。
――実習以外の授業はどうでしたか?
高梨 たとえば『サッカービジネス科』は、PCの基礎知識も学ぶことができます。授業でワードやエクセル、パワーポイントといったソフトの使い方を勉強したことで、社会に出てから必須である事務作業の知識も深められます。それはいまも生かされている部分です。
街を青に染める。フロンターレの価値を高めたい
――フロンターレ後援会に就職した経緯は?
高梨 同じ『サッカービジネス科』の先輩がこのフロンターレ後援会で仕事をされていて、その方が転職するということがきっかけでお話をいただきました。卒業後すぐに就職することができました。
――実際に働き始めて、仕事でうれしかったこととは?
高梨 タペストリーをつけていると、商店街に来たお客さんがその姿を見て声をかけてくれて、『今年もフロンターレ、頑張ってね』と言ってくださいます。それって、地道にタペストリーをつけてきたからこそであると思っています。
――高梨さんはサッカーのどこに魅力を感じていますか。
高梨 サッカーって、90分、目を離せないというのは魅力ですよね。最後の一秒まで何が起こるかわからない。僕自身も中学までサッカーをやっていたのもあり、その面白さを感じます。どのサッカーチームを見ても面白いですし、いまのフロンターレは本当に強いですが、どのチームにも勝つチャンスがある。それはいいですよね。
──これまで印象的だったフロンターレの試合はありますか?
高梨 22020年ですとJリーグが再開した直後、7月4日に行われたJ1第2節の鹿島戦でしょうか。リーグが中断してこの先どうなるかわからなかったところから、なんとか再開できました。試合前日、スタッフみんなでスタンドに『FORZA』という文字を浮かび上げました。本当に、あの試合は印象的ですね。もちろん、優勝を決めた試合も印象に残っています。
――フロンターレのいいところをどこに感じていますか?
高梨 温かいクラブだなと思いますね。サッカーだけじゃなく、地域とのつながりを始めとして、サッカー以外でもサポーターを巻き込んでコンテンツを提供している。それが魅力だと思っています。
――高梨さんの、いまの目標はありますか?
高梨 僕自身は後援会という立場で、フロンターレの価値を高める役割を担っています。会員を増やすことはもちろん、自分の担当であるタペストリーの掲出というところでは、川崎市すべての商店街にタペストリーをつけて、川崎市すべてを青く染めていきたいと思っています。
──最後に、後輩へのメッセージを。
高梨 学校の授業でも学ぶことだと思います。この業界は、シーズンを通して体力を求められるということはありますが、それを越えるやりがいがあるんです。チームが勝利したときはもちろん、イベントが成功したときなどは、つらさを越えるやりがいがあると思っています。JAPANサッカーカレッジに入学したことは、サッカー界で働く上での強みにつながると思います。ぜひサッカー界を目指して、そしてサッカーを一緒に盛り上げていきましょう!
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選手・コーチ・トレーナー・クラブスタッフなど、サッカー界のあらゆる分野を目指せる日本で唯一のサッカー総合専門学校。
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⇒ https://cupsnet.com/
(BLOGOLA編集部)
2021/03/17 18:00