11日に開催される、J1第21節・鳥栖vs浦和。この試合で一つの記録が生まれそうだ。浦和のシンボル、阿部勇樹がこの試合に出場すれば、いまから20年前に刻んだJ1デビュー(98年8月5日Jリーグ1st第16節、市原vsG大阪。当時16歳333日)から数えてJ1通算550試合目となる。これまで楢﨑正剛(名古屋)、中澤佑二(横浜FM)、遠藤保仁(G大阪)が達成してきた記録だが、阿部がこのラインを超えれば最年少(36歳11カ月5日)での達成だ。
高3当時、千葉県浦安市にあった市原の練習場で先輩たちに日々叱咤されながらも、左CBのレギュラーとして残留争いを戦い抜いた少年は、コンスタントに毎年出場機会を重ね、いまやすっかり大ベテランの域だ。今季は先発出場こそ少なくなったものの、オズワルド・オリヴェイラ監督にも重宝され、最近はどんな状況でも交代カードの1枚目として投入されている。ピッチでは、チームの歯車をちゃちゃっと調整して円滑に回す役割を担う。その仕事の意味は実に大きい。
彼の姿を間近で見てきた2歳年上の平川忠亮は、「試合に出る選手はいろいろなケガとつき合わないといけないが、彼は我慢しながら、コントロールしながら、そしてケアしながら、ここまでずっとやってきた。苦労してきたのも見てきた。彼からは心の強さ、続けられる強さを感じる。年下だけどリスペクトしている」と話した。積み重ねた550試合の裏には、550試合ぶんの膨大な準備が隠れている。主将の任を解かれた今季も、それは変わらず続けてきた。
鳥栖戦でも、きっと阿部の力が必要になるだろう。そのためにルーティンを一つひとつ消化し、試合前日練習のあとには大原サッカー場の坂道を淡々とダッシュしているはずだ。阿部は550試合目をいつもどおり戦い、これを一つの区切りとしてまた次の試合へのサイクルを始める。
写真:田中直希
(浦和担当 田中直希)
2018/08/08 15:10