千葉のアカデミー出身・岡野洵が大分へ期限付き移籍した。その期待のホープの一つ年上で、岡野がトップチームに昇格してから、公私ともにプロの酸いも甘いも教わってきたのが乾貴哉。盟友である後輩の大きな決断に一抹の寂しさを滲ませながらも、乾は岡野に「能力の高さは誰が見ても分かる。あとはあっちで試合に出て、ディフェンスの技術とか、ボールの配給が向上したところを見てみたいですね」とエールを送る。
乾と岡野の仲の良さは有名だ。乾が昨年11月、第40節・町田戦で左膝蓋腱断裂(全治6カ月)の大けがを負った直後のエピソード。都内の病院に入院する乾からの「ステーキが食べたい」というオファーを受けた岡野はテイクアウトし、病室に駆けつけて一緒に食べるほどの先輩思いの一面をもつ。ともに2年間過ごした寮を同時に出た今季も「オフのときは買い物とかに出かけて常に一緒にいた」というほど、行動をともにしていた。だから「こういう世界なので仕方ないのですが、半年で帰ってくるかも分からないので、結構寂しい」というのはまさに本音だろう。
ただ、プロは試合に出て活躍してなんぼの世界。移籍の相談を受けた際は「試合に出られずに悩んでいたし、アイツが成長できると思ったので、『自分のために頑張ったほうがいい』と言いました」と後押ししたという。
乾が6月に戦列復帰した今季、二人同時にピッチに立った公式戦はわずか2試合。「(今季の残りの試合に)自分も出続けて、また半年後、(千葉で)一緒に出られればうれしいですね」。クラブは違えど、気持ちは同じ。先輩は黄色のユニフォームに身を包んで、後輩とまたフクアリのピッチに立てる瞬間を待ち望んでいる。
(千葉担当 大林洋平)
2018/07/28 18:00