プロの胆力――。それを証明する一発だった。
20日のJ2第15節・横浜FC戦での最終盤、勝点1をもたらす同点ゴールを奪った千葉の清武功暉。 「あそこで結果が出なかったら、またメンバーに入れるか分からない難しい時期が続くと思っていたのでホッとしている」。激しい競争の生き残りをかけたとまでは言い過ぎだが、自身の立場や存在感を保つ上で重要な一戦で結果を残した。
清武の安堵がこもったコメントには伏線がある。それはさかのぼること1週間前の前々節・新潟戦。「自分の中で何ができたかというのが、全然、残ってなくて・・・。ジェフにきて僕の中で一番よくなかった試合」。自身も認めるように、町田也真人の負傷交代で前半早々に途中出場したゲームでのパフォーマンスの不出来にある。
ただ、清武が委縮することはなかった。そこには苦い経験に裏打ちされた確固たる信念がある。
「(プロキャリアをスタートさせた)鳥栖や熊本でやってきた中、大学生で特別指定選手になった鳥栖では、何も恐れずにすごくいいプレーができていたが、プロに入ってからボールをとられるのが怖くなってチャレンジできなくなったときに全然、試合に出られなくなった」
後悔はあれども、持ち味と自負する「チャレンジする姿勢」を捨てる選択肢は毛頭なかったという。
ただ、そうは言え、己の信じる道を突き進んでも即、結果につなげられるかは別問題。失敗が続けば、より立場を危うくするのは明白で、“結果”という高い壁に阻まれるのがプロの大半だ。
それでも清武は点取り屋としての矜持を語る。
「99本のシュートを外しても1本決めれば、FWはOKという考え方が僕にはある。鳥栖のときみたいにならないように、どれだけ失敗しても一本とれば、挽回できると思い続けてやっている」
そのブレない姿勢が横浜FC戦のゴールにつながった。そして今節はホームで迎える古巣・熊本戦。
「僕が出れば、得点の匂いがする選手でありたいし、そうゆう期待感をスタジアムに作りたい」
今季初となる2戦連続ゴールとともに、「思い入れのあるクラブ」への恩返し弾でフクアリを盛り上げる気概で挑む。
(千葉担当 大林洋平)
2018/05/24 20:26