次節のJ2第7節・福岡戦に並々ならぬ気持ちで挑む選手がいる。古巣戦となる栃木の牛之濱拓だ。
「福岡を離れたときから『福岡に勝つこと』を目標に定めてここまでずっとやってきたんです」
牛之濱が福岡に入ったのは小6のとき。鹿児島から家族で転居してジュニアチームに身を投じ、ジュニアユース、ユース、トップチームと昇格。福岡は12年間在籍した思い入れが強いクラブだ。
2015年暮れに契約満了となったときに「サッカーを辞めるつもりはさらさらなかった」という牛之濱には、福岡でやり切った感覚がまるでなかった。トライアウトを経てJ3の盛岡と再契約。年間9ゴールという結果を出すと、2017年から栃木に引き抜かれ、昨季は7ゴールを記録しつつ攻守にフル稼働。チームのJ2昇格に貢献した。
その間、ずっと福岡を意識してきた。「昨季の福岡のJ1昇格争いもずっと気にかけていた」。今季、栃木と福岡は同カテゴリーとなり、今節、ついに直接対決が実現する。
「福岡のトップチームにいたとき、自分は福岡のサポーターや指導者の方々に自分がどういうプレーヤーなのかほとんど見せられなかった。お世話になったチームに対して、今回、自分のプレーを見せてどうしても勝ちたいんです。チームにとってはリーグ戦の一試合ですが、僕にとって特別な試合。ただ、試合をするだけじゃなくて、爪痕を残したいんです」
福岡を契約満了になった2015年の暮れから2年半、ずっと待ちわびたチャンス。今節、牛之濱は当時と違ってどんなプレーを見せることができるだろうか。
「当時よりも自信をもってプレーしているところ見せたい。福岡でプレーしていたときは、わずかなチャンスで結果をつかもうとがむしゃらにプレーしていました。でも、今は試合出場を重ねてきただけあって、多少の余裕はあります。ハードワークの緩急のつけ方、セカンドボールの争奪の見極め方。それらの精度は確実に高められている。その自信をこの試合で証明したいと思います」
写真:鈴木康浩
(栃木担当 鈴木康浩)
2018/03/30 14:49